米沢電線株式会社

前田和宏さん

仕事がしたい一心で
飛び込んだ世界の、
つなぐ技術に魅せられる。
米沢電線株式会社(米沢市)

昭和19年に巻線の製造からスタートした米沢電線ですが、現在では、電線、ワイヤハーネス、部品の3部門から多彩な製品を世に送り出しています。光ファイバーケーブルや電力ケーブル、自動車用ワイヤハーネス、プラスチック成型品など、現代の“ものづくり”には欠かせないものばかり。前田さんは、ハーネス事業部技術課の主任として、社内はもとより国内外の協力会社の製造工程を設計し、そのスムーズな稼働のための指導にあたっています。

前田和宏さん

プロフィール
前田 和宏さん

昭和52年生まれ。
山形県酒田市出身。
東北学院大学工学部卒業。
1999年米沢電線株式会社入社。
ハーネス事業部で10年、現在は技術部技術課主任。

入社の動機、きっかけは?

正直言って、学生時代は何になりたいとか、何がしたいとかまったくわかりませんでした。だから、こうして希望の職種に就けたとか、夢に一歩近づいたとか、そんなかっこいい話は何もできません。ただ、ちょっと理数系が得意だったので工学部に入って、“仕事がしたい”という気持ちだけでこの会社に入社したんです。極端な話、ものづくりであれば何でもよかったという感じで、入社試験の面接でも、立派な志望動機などは一言もいえませんでした(笑)。それでも日々働きながら、やりがいや目標を見つけることができた気がします。こんな私がアドバイスできるとしたら、何がしたいかがハッキリわからなくても大丈夫。“仕事がしたい”という思いと、まじめに仕事に取り組む姿勢があれば、きっとあとからやりがいや適性はついてきてくれるはずだということです。

入社後に戸惑いなどはありませんでしたか。

どんな仕事なのかイメージすることもなく入社したので、それがかえって良かったのかもしれません。変な先入観もなく、ゼロから仕事に取り組むことができました。かなり特殊な業種なのですべて会社に入ってから学ばせてもらったという感じですね。戸惑っている余裕もありませんでした。

具体的な仕事内容を教えてください

私は入社10年になりますが、ずっとハーネス事業部というところで、自動車や機器、農機具用のワイヤハーネスの製造に携わっています。ワイヤハーネスというのは、自動車などの複雑なマシーンに使われている何百本もの配線を組立ラインに適合するように束ねて、つなぎ、モジュール化したもので、人間の体で言えば神経や血管に相当するものです。誤配線防止や機械内部の美装化、製造工程の合理化にも欠かせないものになっています。そのワイヤハーネスを製造するための図面を用意し、工場で使う道具や設備の段取りをする、工程設計というのが私の仕事です。
現場での仕事がほとんどですが、その準備段階ではよくパソコンに向かっています。本社工場はもちろん、県外や中国、タイなどにある協力会社の工程設計も任されているので、その説明と指導のために海外出張も少なくありません。

ワイヤハーネス搭載図。自動車の複雑な配線もワイヤハーネスによってこんなにスッキリ納められる
ワイヤハーネス搭載図。自動車の複雑な配線もワイヤハーネスによってこんなにスッキリ納められる

自動車用ワイヤハーネス
自動車用ワイヤハーネス
この仕事で大切にしていることは何ですか。

国内外、どちらもコミュニケーションを大切にしています。まず、仲良くならないと仕事がスムーズに運びませんから。先ほども言ったように私の仕事は工程設計、私の仕事自体はお金を生みません。私が立てた工程設計のもとで工場の人たちがものづくりをしてくれて初めて業績につながるわけです。それぞれの現場で実演しながら説明し、やってもらって指導して……そうこうするうちにその工場や現地の人々との間に愛着が生まれてきます。

この仕事をやっていてよかったと思うことは?

自分が工程設計を手掛けたラインで製品が完成して、それを使った人が喜んでくれたらうれしいですよね。工場の人に作りやすいとか、製品の出来がいいとか言われることも大いに励みになります。

逆に、いちばん大変だと感じることは何ですか?

やっぱり、工場の人から使いにくい、よくないなどの苦情が来ると、かなりショックですね。でも、今は苦情もカタチを変えたアドバイスと考えて、大変というよりは真摯に受け止めるようにしています。10年経っても学ぶべきことはたくさんありますから。

ハーネスを作る工程を現場で説明、指導するための準備としてパソコンに向かう前田さん
ハーネスを作る工程を現場で説明、指導するための準備としてパソコンに向かう前田さん

上司や先輩から受けた特に印象的なアドバイスは?

だれからのどんなアドバイスと特定することはできませんが、私なんてまだまだいろんな事を教えてもらっている立場なので、先輩も後輩もみんな先生だと思っています。そう、後輩も先生。後輩は後輩と考えてしまったら自ら先生を半分失うことになる、というのが私の考え方です。

前田さんが今後やってみたい仕事や目標を教えてください。

特別に大きいものや小さいものの工程設計をしてみたいですね。それから、ゲストエンジニアといって、カーメーカーの技術開発部門に出向している社員が現在も20名ほどいるんですが、私も一度はメーカーのスタッフと一緒に仕事をしてみたいという希望はあります。この仕事を通してお客さまに満足していただけて、こちらも利益を得られるというのがいちばんですね。

前田さん

「プロフェッショナルへの道、というタイトルが立派すぎて自分にはどうも……」と終始謙虚な姿勢を崩さなかった前田さん。学生時代には目標が見いだせなかったものの、働きながら見つけていったという言葉に勇気づけられる人も多いのではないでしょうか。前田さん自身の言葉とは裏腹に、前田さんは米沢電線の“つなぐ”技術を支える重要なポジションにいる人物のようです。

(2008/11/6取材)

米沢電線株式会社

「“つなぐ”技術と製品を通してお客さまの価値創造と社会の発展に貢献する」を企業理念とする米沢電線のコーポレートマークは北斗七星。つねに新しい技術で一つ一つのパーツをつなぎ、協力してお客さまのニーズに応える姿を表している。

米沢電線株式会社
代表者:取締役社長 渋田 哲夫
設立:1944年8月
従業員数:670名
事業内容:ワイヤーハーネスおよび各種ケーブル製造
所在地:山形県米沢市東1-10-53
TEL:0238-23-9211
FAX:0238-24-3000
URL:http://www.yonezawadensen.co.jp

切削工具研削の達人
[動画あり]


片桐喜三郎さん

切削工具研削の達人 片桐喜三郎さん
(山形県卓越技能者表彰受賞/平成19年度)

昭和21年生まれ。村山市出身。集団就職で上京するも30歳を前に帰郷。「マイスター」の前身となる会社で高井社長の下で働くことになり、後に切削工具研削の職人として技術を磨きはじめる。1級切削工具研削技能士。平成15年には「高度熟練技能者」の認定を受け、平成19年度には山形県知事表彰を受賞している。

時代の要請やお客様の要望に応えて
切削工具研削から精研製造まで手掛ける企業

株式会社マイスターは、当初「株式会社タカイ工機」の名称で昭和55年に設立。切削工具の研削を、高井作(つくる)社長と片桐さんが試行錯誤を重ねて徐々に技術を高めていき、超硬工具の精密加工分野に参入したのは昭和60年。3年後に本社および工場を河北町から寒河江市に移転し、株式会社マイスターと商号変更。お客様からの要望に応えるカタチで、それまでの工業用刃物の加工を基に、研削技術を生かし精密な治具や金型部品、精密機器部品へと分野を広げ、切削工具をはじめ多種多様な部品を提供し、ものづくりの原点を支えています。

さまざまな形に切る道具「切削工具」
さまざまな形に切る道具「切削工具」

まったく未知の分野への挑戦、
素直に吸収、相談できたことで習得

一度は東京に出たものの、やはり故郷での暮らしを選んで昭和50年ごろに帰郷した片桐さん。実のお兄さんの紹介で高井社長と出会い、以後ずっと仕事を共にしてきました。切削工具研削の会社を立ち上げることになり、1カ月ほど新潟の工場で基礎研修は受けたものの、ほとんど実践の中で試行錯誤しながら身につけていった技術だといいます。

切削工具研削とは、ものづくりの現場で金属を切ったり穴を開けたりするために使うカッターやドリルといった刃物の切れ味を甦らせるために再研削したり、または一から研磨して作り上げる技術のことです。まったくの素人だった片桐さん、「今思えば、何も知らなかったからこそ、素直にいろんな事を吸収できたし、お客様と高井社長とで一緒に必死にがんばれた」と当時をポジティブに振り返ります。手先が器用だったことも幸いし、指摘や指導を受けたこと、試行錯誤した結果を逐一ノートに書き留めるというまじめで研究熱心な性格も手伝ってグングンと技能を高め、高度熟練技能者認定や山形県知事表彰を受けるまでに至ったのです。

砥石に刃先をあてるまでが最も神経を使う
砥石に刃先をあてるまでが最も神経を使う
お客様の要望通りか、切削面を厳しくチェック
お客様の要望通りか、切削面を厳しくチェック

60歳を過ぎても現状に満足しない
若い人の手法や専門誌から学び続ける
「教えることは自分の勉強にもなる」若い技能者への指導もにこやかに
「教えることは自分の勉強にもなる」若い技能者への指導もにこやかに

この道30年余り、高度熟練技能者となり、後進を育成する立場となった今でも、片桐さん自身、さらなる進化を目指して、専門誌から最新の情報を入手したり、若い技能者からも何かを学ぼうと熱い視線を送り続けています。経験値は高まる一方でも、視力の低下など年齢による衰えは認めざるを得ません。でも、それを仕方のないこととして諦めるのではなく、カバーする方法を工夫しています。また、金属やダイヤモンドを切ったり削ったりする機械加工の仕事では、気をゆるめると常に危険と隣り合わせ。そんな職場にあって、片桐さんはほとんどケガをしたことがないというのです。「際立った記録でもなんでもありませんが、片桐さんの本当の凄さの核心でもあるような気がします」と増田喜一総務部長。片桐さんの慎重な仕事ぶり、危険を敏感に察知し未然に防ぐ能力を高く評価しています。

ものづくりには欠かせない切削工具、再研削が終わるまでは工場がストップしてしまう場合も。だから、とにかく急ぎの仕事が多いといいます。それでも、「よく切れるようになって仕事がはかどります。」「助かりました。」とお礼の言葉をかけてもらえるとうれしくて次もまたがんばれるのだそうです。

(2009/3/26取材)



株式会社マイスター

株式会社 マイスター

株式会社マイスターは、平成20年1月に寒河江市の中央工業団地に移転、正三角形をベースにした斬新な本社工場で稼働している。東に蔵王、西に月山、葉山、朝日連峰を望む好環境のもと、毎朝ラジオ体操から一日がはじまる。工場フロアには、刃研製造部と精研製造部の2部門があり、お客さまが抱える問題解決に応じて必要な技術を提供している。片桐さんが所属し、後進の指導にもあたっている刃研製造部では、女性従業員も積極的に技能国家資格を取得している。

株式会社 マイスター
代表者:代表取締役 高井 作
設立:昭和55年7月
従業員数:56人
事業内容:切削工具再研削、特殊切削工具設計製作治工具・超硬部品・ダイヤ工具の製作
特殊機械部品の加工および組立
所在地:山形県寒河江市中央工業団地156-1
TEL:0237-86-4500
FAX:0237-86-0252
URL:http://www.ymeister.co.jp/

Categories: 山形の達人

アイジー工業株式会社

アイジー工業株式会社

技術力の高さと人柄に惹かれ、
山形発の「ものづくり企業」にIターン
アイジー工業株式会社(東根市)

金属サイディングのリーディングカンパニーとして進化し続けるアイジー工業株式会社。 入社2年目の鈴木陽平さんは寒河江工場品質管理チームの一員として、物性評価をメインとする業務に取り組んでいます。栃木県出身でIターンした鈴木さんに仕事に対するやりがいや山形の良さについてお聞きしました。

鈴木陽平さん

鈴木陽平さんのプロフィール

 

栃木県出身

山形大学工学部
(電気電子工学科)卒業

山形大学大学院
(理工学研究科電気電子工学専攻)卒業

アイジー工業株式会社入社
1991年生まれ。栃木県出身
山形大学大学院理工学研究科を卒業後、2016年アイジー工業㈱に総合職として入社。
入社後は製造部の生産技術チームに所属し、検査・梱包等の業務に携わり、2017年7月から品質管理チームに配属される。
趣味はスポーツ。学生時代はバスケ、サッカーを、現在は社内のバドミントン部に所属している。

Iターンのきっかけを教えてください。

小さい時からモノをつくることが好きで、いずれは建築士か大工になりたいと思っていましたが、高校に入ってからは物理や電気の科目に興味を持つようになりました。
大学進学を考えていた時、担当の先生の「これからは電気系を学んだほうがいい」というアドバイスで山形大学工学部に進んだことが山形との出会いです。

なぜ山形で就職しようと思ったのですか?

卒業後は一般企業に就職しようと思っていました。一人っ子なので栃木県に戻る選択肢もあったのですが、両親からは「帰ってこい」と言われたこともなく、常に私の考えを尊重してくれています。私自身、腰を据えて仕事と向き合っていきたいと考えていたので、転勤で全国を回るような仕事ではなく、学生時代に住み慣れた山形で就職するのもいいかなと思ったんです。

アイジー工業を選んだ理由は?

会社のことは、山形県内の企業を調べていたときに就職情報サイトで知りました。もともと建築に興味があったのと、金属板と断熱材が一体化された外壁材である金属サイディングの”生みの親”で現在も全国で高いシェアを持つ企業が山形にあることに驚き、入社したいと思いました。採用が総合職なので様々な分野の業務に関わることができ、自分の幅が広がるということと、これまで学んできた電気の知識も生かせる点が選んだ決め手です。

山形で働いてよかったと思う点は?

大学時代も思っていたのですが、山形の人たちは温かい人が多いです。県民性でしょうか。方言に苦労することもありますけど。(笑)さくらんぼ、ラ・フランス、ラーメン、蕎麦など食べ物がおいしいところも魅力ですね。

 

現在の仕事内容を教えてください。

寒河江工場では、住宅や社屋、公共施設などに使われる外壁材「金属サイディング」をメインに製造しています。
現在、私が所属しているのは製造部・品質管理チームです。主に、物性評価の業務を行っています。具体的には、生産中の製品からサンプルを抜き出し、一定の高温・高湿環境下での促進試験や、圧力をかけて製品・形状に異常がないかなどを検査しています。納品後に不具合が発生しないようにするために、少しも気を抜くことが許されません。
またその他にも、研究開発部を中心に製品開発を行う際のテストで意見を出し合ったり、生産時に設備面で不具合があった場合の調整を行ったりなど、品質管理と言っても業務内容は多岐にわたります。

製品から抜き出したサンプルを高温・高湿下におき、変形がないかを確認
製品から抜き出したサンプルを高温・高湿下におき、変形がないかを確認

この会社に入ってよかったと思うことは?

人間関係が良いところだと思います。休憩室にいても誰かしら話しかけてくれるような雰囲気の職場なので、上司や先輩たちとの距離感をあまり感じたことがありません。疑問に思ったことは気兼ねなく先輩に聞くことができるし、それに対して丁寧に対応してくれますから。当社の金属サイディングは「寒い地域の住まいを温かくして、健康で快適に暮らせるように」という創業者の思いから誕生したもの。そうした精神を受け継いで仕事をしている社員が多いところも魅力だと思います。
また、個人的に嬉しかったのは、建築系の仕事に進んだ友人たちに就職したことを伝えたときに、「アイジー工業の製品、この前使ったよ。営業の人も良い感じだった」と言ってもらえたことですね。

少しの歪みも許されない
少しの歪みも許されない
影響を受けた人は?

仕事をするうえでの心構えなどを指導してくれた大学院時代の恩師2人。ひとりは問題の解決におけるアプローチやスケジュール管理を一から教えてくださいました。段取りを組んで仕事にあたらなければならないという基本的な教えが、今、とても役に立っています。日々たくさんの種類の品質検査をしていかなければならないので、スケジューリングの大切さも痛感していますが、これらも学生時代に学ぶことができたので本当に良かったです。
もうひとりの先生からは「3日、3か月、3年を大事に」と教えられましたね。人は第一印象で決まる、3日は死に物狂いで働け、3日経って大丈夫だったら次は3か月、その次は3年…というように「3区切り」で頑張りなさいと教えられた言葉を忘れないようにしています。


今後の目標を教えてください。

今は少しでもステップアップをしていきたいので、まずは目の前の仕事をしっかりやっていくことが目標。仕事に慣れて周りが見えるようになってきたら、ライン全体の設備や機械に改善点がないかどうかに目を向けていけるようになれればと思います。まだまだ個人的な夢ですが、ゆくゆくは自分の提案した製品が街の中で目にするようになれたら嬉しいです。また、暖かい西日本地域ではなかなか浸透しにくいところもあるので、全国で使ってもらえる製品も開発できたらいいですね。

山形へU・Iターンを考えている方へメッセージをお願いします。

どうしても就活の時は興味のある分野にだけ関心が行ってしまうことがあります。でも、少しでも「どんな会社だろう?」「おもしろそうだな」と感じた企業には時間とお金が許す限り、積極的に会社見学会や説明会に参加し、納得したうえで決めたほうがいいと思います。見学会では社員の方達と触れ合えるので会社の雰囲気が実感できます。それまで、その企業に持っていたイメージが変わるかもしれません。その中の一社として当社にも興味をもっていただけたら嬉しいですね。

忙しい合間を縫って、笑顔で質問に答えてくれた鈴木さん。山形から全国に向けて発信しているものづくり企業を支える若者の一人として頼もしく感じました。

鈴木さん

(2017/12/7取材)


アイジー工業株式会社

アイジー工業株式会社

代表者:代表取締役社長: 高光 克典
創立:1970年4月
従業員数:387名(2022年4月1日現在)
事業内容:主に建築用断熱外壁材(金属サイディング・金属サンドイッチパネル)及び金属屋根材の研究開発、製造、販売
所在地:山形県東根市蟹沢上縄目1816-12
TEL:0237-43-1830
FAX:0237-41-1830
URL:https://www.igkogyo.co.jp/

Spiber株式会社


Spiber株式会社

「働く」から「営む」へ
私たちが考える仕事
不可能を可能にするために
私たちが考える会社
Spiber株式会社(鶴岡市)

夢の繊維と言われている人工の「クモの糸」に関する研究・開発を手掛けるSpiber株式会社は鶴岡市に拠点を構える企業。世界初の合成繊維「クモの糸」の量産化に成功。そんな企業のなかで広報に関する業務、労務管理、技術研究・開発に携わるお三人にお話しをうかがいました。

研究にかける熱い思いに感銘、そして新しいことへのチャレンジ。そして新しいことへのチャレンジ。

入社のきっかけを教えてください。

Spiber株式会社

上原 知子(うえはら ともこ)さん
鶴岡市出身。2011年入社。大学を卒業後に地元に戻る。公務員と大学職員を経て現在の会社に入社、事業開発部門の広報に関する業務で会社の顔として活動している。

上原
公務員を経て、大学職員(慶応義塾大学先端生命科学研究所)にて事務秘書や渉外業務に就いていました。当時まだ学生として研究開発を行っていた現代表や、他のメンバー達の開発にかける熱い思いや、姿を間近に目にし、その姿に感銘を受け自分もこの研究開発に携わり、サポートしたいと思いました。
Spiber株式会社

石川 美咲(いしかわ みさき)さん
酒田市出身。2015年入社。高校卒業後地元を離れ一時関東の企業に就職。その後地元に戻り現在の会社に入社。経営管理部門で労務関係の業務を行っている。

石川
地元に戻りTV等で紹介されているこの会社の事や、代表の研究にかける熱い思いに感銘を受け自分もこの仕事に携わりたいと思い入社しました。
 Spiber株式会社

佐藤 僚子(さとう りょうこ)さん
山形市出身。2014年入社。大学卒業後に山形の企業に入社。早期退職後、現在の会社に入社。研究開発部門で、製造装置の開発を行っている。

佐藤
前職(生産技術の仕事)を早期退職し、次の仕事を探している時にこの会社のことを知りました。新しい事への挑戦、ものづくりの考えに自分も挑戦したいと思い入社しました。

現在、どんな仕事をしていますか。

上原
社外に向けたPR活動、イベントの企画・提案、メディアの対応などの広報の仕事になります。
石川
労務管理業務を担当しています。給与関係、社会保険・健康保険、雇用保険に関する業務を行っています。
佐藤
装置を開発するエンジニアチームに所属しています。主に、人工合成クモ糸を造る装置や、実験室で使われる装置の改造・開発設計をしています。外注で依頼の出来ないことも多いので、図面を書く設計までを内製で行っています。

※人工糸を扱う企業自体が少ないため、人工糸を造る機械も多くはない。そのため、スパイバーでは装置自体をゼロから製作しています。

仕事で難しさを感じる時はありますか。

上原
広報の業務というと『社会』と一番近くにいます。社会の人々に私達の取り組みを理解してもらい、ファンになってもらえるように『社会』へ正確に伝えているが、『社会』へ出たときに誤解の無い様に広げていくことが難しい。。
石川
人事関係の仕事の経験はありましたが、労務という今まで経験のない業務だったので分からないことも多く、分からないことがあった時には人に頼らず、まずは自分で調べたりしています。この会社にとって一番良い方法は何かを考える時に難しさを感じます。
佐藤
まだ世の中に無い装置や工程などを『ゼロ』から造り上げる業務なので、品質を保持しながら装置を造っていくことが難しい。もちろん一人ではできないので、チームのメンバーと密に打合せを行いながらチームで一つの装置を造っていきますが、製作工程の中で壁にぶつかった時には、経験豊富なマネージャーに相談してクリアしています。
Spiber株式会社
Spiber株式会社

それは『勇気』と『チームビルディング』。

仕事をする上で大切にしていることは。

上原
私が大切にしていることは『勇気』です。『勇気』が全てを解決していると思っています。間違っていることを言う『勇気』、当たり前になっていることを変えていく『勇気』、新しいことへ一歩踏み出す『勇気』。『勇気』と『感謝』の気持ちを持って仕事に取り組んでいます。
石川
管理部門での業務な訳ですが、他の研究部門だったり他の部署の人達が集中して研究・開発に取り組んでもらえるように、どうすれば効率よく仕事ができるかを考えています。研究・開発がすすむことで世の中の人達のためになればと思います。
佐藤
技術的な面から言うと、品質の保持と作業性、そして装置を使用する方の安全を一番に考えて設計をしています。仕事を進めていく中では、チームワークを大切にしています。

今後の目標を教えてください。

上原
『チームビルディング』です。これまでは少数の社員が会社に携わってきました。現在は社員も増えました。例えば、1人でできなかったことが5人集まることで100倍の『力』を出せると思っています。一つ一つのチーム力をアップする組織づくりが目標です。
石川
今後は、新しい事にもっと『挑戦』していきたいと思っています。労務担当以外の他の業務に関しても携わっていきたいと考えています。
佐藤
量産に向け品質の良い製品を市場に提供したいので、そのための良質の装置を造っていく、これが目標です。

ものづくり産業を目指す女性にメッセージをお願いします。

上原
『0』から『1』にすることは大変だと思います。一緒に世の中に最高のものを出していきましょう。
石川
最初に始めることには不安なことが沢山あると思いますが、何事も踏み出さなければ始まらないと思うので、チャレンジしてみて下さい。
佐藤
女性が技術の関係で仕事をするとき辛いこともあると思います。最近は、若い女性の技術者の方も増えてきていると思っています。女性ならではの『目線』で、男性では気が付かない様な視点で会社の力になってほしいと思います。
Spiber株式会社
課題が見つかった時、チーム全員で課題に取り組んでいます
Spiber株式会社
実験室では日々良質の製品を世に出すための研究・開発が行われている
(2017/3/16取材)

Spiber株式会社

企業からのメッセージ
Spiber株式会社
人は、それぞれにユニークな存在であり、力を発揮するための最適な方法・環境が異なるため、多様性が認められていることは、各人の価値を最大化するために不可欠な要素です。そのためには、極めて柔軟な組織形態を維持しつつ、チームワークを高めなければなりません。自由度の高い組織形態・ワークスタイルを示す一例として、全社員に開かれた経営会議、所属チームに縛られず、他のチーム(時には他の組織へも)の仕事への参画の奨励などがあげられます。
ポジティブでオープンな雰囲気。新しいこと・楽しいことに積極的であること。挑戦を奨励し、寛容(Nice try!)の精神で受けとめること。互いの価値を認めあうこと。これらを守ろうとする強い心を一人ひとりが持つことで「文化」が育まれると考えています。

社員数
代表者:代表取締役 関山 和秀
所在地:山形県鶴岡市覚岸寺字水上234番地1
TEL:0235-25-3907
URL:https://www.spiber.jp/
産業分類:製造業
事業内容:次世代バイオ素材開発、DNAタグ技術開発、DNA情報記録技術開 発に係る事業

低コスト・高性能計測で
エコに貢献


山形東亜DKK株式会社

世界にはばたくメイドイン山形
低コスト・高性能
計測でエコに貢献
山形東亜DKK株式会社(新庄市)
USB接続するだけでパソコンがpH計・ORP計に。専用アプリケーションソフトにより測定値の同時データ化も可能にした。

ニーズに的確に応える一個作り生産

1990年設立の山形東亜DKKは、各種分析計のリーディングカンパニーである東亜ディーケーケー(株)の生産拠点として、分析計用電極、プリント基板、pH計・ORP計変換器の生産からスタートしました。その後、環境用大気分析計や上下水用分析計にまで業容を拡大し、1999年からは環境プロセス用分析機器全機種の生産を東亜ディーケーケーから移管され、最終顧客への出荷を開始しています。

さらに、超小型変換器、水道水用水質自動測定装置や負荷量演算器の開発・生産にも着手。近年では、大学との共同研究など開発部門にも力を入れており、工場内の生産工程は、すべてコンピューターによる統合管理システムを導入しています。また、製品の性質上、分析や測定の条件等によってお客さまのニーズが微妙に異なることから多品種少生産の製品が多く、コストを抑えるために部品やプリント基板も自社生産。注文に応じて必要な製品を必要なだけ生産する一個作りに徹することで総合的な品質保証と余剰在庫の削減をも実現しています。

防水処理
一つひとつ手作業で電極に防水処理を施す
デジタルデータとしてパソコンに記録
パソコンのUSBポートに接続するだけでpHを測定、デジタルデータとしてパソコンに記録

新発想のpH計を破格値でネット販売

山形東亜DKKでは、2002年に高性能はそのままにコンパクト化と低コスト化を実現した超小型計測器(pH計・ORP計)を自社開発。当初は東亜ディーケーケーを経由して販売していましたが、2004年からはインターネット販売を開始。さらに、その翌々年には山形大学大学院神戸研究室の開発協力を得てUSB変換器の製品化に成功し、同様にインターネットでのみ販売を行っています。

大々的にPRすることもなく、年に数台売れればいい程度の予想で始めたネット販売ですが、実際にホームページを開設してみると多数のアクセスがあり、販売台数も順調に伸びているというのです。ともに電極、ケーブルなどすぐに使用するために必要な付属品一式をセットにしての低価格という点が魅力なのでしょう。産業用水や公共用水の計測用としてはもちろん、個人ユーザーからの問い合わせ・注文も少なくありません。

開発技術課の水口人史課長
USB変換器の開発を手がけた開発技術課の水口人史課長

特に、USBインターフェースを搭載したパソコン接続型の変換器とガラス電極で構成されるUSB変換器は、測定値をデジタルデータとしてパソコンに記録できるということから各方面で注目を集めています。さらに、市販の表計算ソフト等を使用すれば簡単に解析も可能。魚飼育用水槽の水質管理や温泉の掛け流し湯の証明などにと、新たな需要拡大にも威力を発揮しています。

パネル型変換器の生産ライン
パネル型変換器の生産ライン

深刻な環境問題に多方面で貢献

「『誠実・創造・挑戦』をモットーに地球環境保全と豊かで人に優しい社会環境の実現に貢献します。」を経営理念とする山形東亜DKK。その生産製品は、まさに深刻化する環境問題に関わりの深いものばかり。上下水用計測器や水質用分析機器・システム、大気用分析計などは環境問題に直結するもので、今後ますますの需要拡大が見込まれる分野。それらの製品が使用される環境条件や活用目的に合わせて最適の機器やシステムを提供するためにほぼ一台一台がオーダーメイド。さらに、完成後の検査、試運転も実に慎重に行われます。製品保証のために製造に1週間、検査に2週間、そんなケースも稀ではありません。

また、プリント基板には鉛を用いないハンダ付を採用するなど、製造現場での環境意識も徹底しています。今後は、大学等との共同研究にも一層力を注ぎ、開発部門の強化をめざします。

大気汚染計の試運転データ
大気汚染計の試運転データ。時間をかけて厳しい品質チェックを経て出荷される
多くの分析機器
装置の中にはこんなに多くの分析機器が配置されている
大気汚染測定装置
今後ますます需要が見込まれる大気汚染測定装置
沖田安生社長
経営理念や地域への貢献について穏やかな表情で語る沖田安生社長
プリント基板製造
環境にやさしい鉛フリーのプリント基板製造
(2008/10/28取材)

山形東亜DKK株式会社

山形東亜DKK株式会社

「地球に優しいテクノロジー」を掲げ、各種計測機器・分析機器を生産。部品調達から、機械加工、組立、調整、最終検査、出荷まで一貫した生産体制でお客さまのニーズにスピーディに対応している。さらに、一個作り生産により在庫削減、生産の効率アップを追究。産学連携など開発分野にも力を注ぎ、成果を上げている。

代表者:代表取締役社長 沖田 安生
創業:1990年10月
従業員数:108名
事業内容:プリント基板、プロセス用分析機器、分析計用電極、上下水用計測
     機器、大気用分析機器の受注生産、出荷、販売まで。
所在地:山形県新庄市大字福田字福田山711-109
TEL:0233-23-5011
FAX:0233-23-5010
URL:http://www.y-dkk.com/

前田製管株式会社

鎌田 健さん

コンクリートの可能性を広げ、
地球の未来に貢献し、
自分自身も成長したい。
前田製管株式会社(酒田市)

前田製管は、1948年の設立以来、コンクリート製品の製造・販売ひと筋60年。 道路、橋梁、河川、水田……、暮らしのあらゆる場所で目にするコンクリート製品を通して地域社会の発展に貢献してきました。2007年からの新体制により、前田製管が製造する製品の販売並びにそれに付帯する工事は前田製品販売株式会社が担当することとなり、現在、鎌田さんは前田製品販売の技術開発部課長として酒田本社に勤務しています。

鎌田 健さん

プロフィール
鎌田 健 さん

 

昭和49年生まれ。
秋田県男鹿市出身。
秋田大学鉱山学部資源素材工学科卒業。
1997年前田製管株式会社入社。
1998年技術開発部
2001年秋田支店技術主任
2007年本社 技術開発部課長、現在に至る。

入社の動機、きっかけは?

祖父が地元の秋田で土木建設業を営んでおり、母親はそこで事務をしていました。小さい頃から土木建設業という仕事を身近に感じ、祖父からも「大変だがとてもやりがいのある仕事だ」とよく聞かされていたのでごく自然に。それに、父親が技術者ということもあって自分も手に職をつけたいと考えていました。なぜ前田製管だったかというと、実家がとても田舎で、早く下水道や道路の整備をして欲しいなと感じていたころに、コンクリート製の下水道管を製造、販売している会社があると知って興味を覚えたんです。周囲の人もよく知っている会社でしたし、地方の下水道や道路の整備状況から見ても今後もまだまだ伸びていく会社だと考えて入社を希望しました。

具体的な仕事内容を教えてください。

一般の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、当社はコンクリート製品を製造して工事を行う業者に販売する会社です。よく目にするところでは道路の縁石や側溝、田んぼの周囲にある水路、道路や住宅の土を押さえる壁、電柱とか。ほかにも橋やビルなどの建築物に使用する部材などがあります。地下では下水道管やマンホール、建物の基礎を支える杭、高速道路下の通路などの部材を扱っています。
同業者も多く競争が激しいので、受注を確保するためにさまざまな新製品を開発していかなければなりません。そこで、私たち技術開発陣がユーザーのニーズに合わせて、より満足度の高い製品を安く売るための開発業務を行っています。私は、開発の他に、それらの商品の広報活動や広告展開にも携わっています。

建設現場
SSボックス実験風景。ボックスカルバート(高速道路の下の通路)の安全性を確認するために行われた実物大載荷試験の様子。
SSボックス実験風景。ボックスカルバート(高速道路の下の通路)の安全性を確認するために行われた実物大載荷試験の様子。
アーチ型の防音蓋を使用した防音側溝<スーパーMXドレーン>。蓋を重ねた時も、すき間に手が入って持ちやすい。
アーチ型の防音蓋を使用した防音側溝<スーパーMXドレーン>。蓋を重ねた時も、すき間に手が入って持ちやすい。
開発した製品の実験を行う鎌田さん(写真左)
開発した製品の実験を行う鎌田さん(写真左)

この仕事の魅力、やりがいとは?

開発中の製品は実験を繰り返しますが、すんなりいくことはまずありません。机上ではうまくいくものが、その通りには行かない現実を突きつけられたときは愕然とします。でも、その問題を会社のチームワークで解決し、みんなの力で成功したときには何ものにも代えがたい喜びがあります。
また、道路を通行していればコンクリート製品はどこでも目にすることができます。自分の開発した製品がそこにあって、しっかり役目を果たしているのを見ると感動しますね。いつ見ても何回見ても感動しますし、もっとがんばろうという気にもなります。

逆に、いちばん大変だと思うことは何ですか?

売れる製品を開発すること、これに尽きますね。売りやすい製品というのは、お客さまのニーズにかなうというだけではダメなんです。工場で作りやすいこと、運送業者が運びやすいことなど、コストや効率面も考え、もちろんその上でお客さまに喜んでもらえる使いやすい製品でなければなりません。漠然と売れる側溝を開発しろと言われたときには、本当に頭を抱えてしまいました。しばらくクルマ通勤を止めて、側溝の上を歩き、考えながら通勤したものです。

鎌田さんが考案した低コストの側溝<新側溝KAMAドレーン>。断面が円形でゴミがたまりにくく、蓋を無くした一体型なのでガタツキ騒音もなし。
鎌田さんが考案した低コストの側溝<新側溝KAMAドレーン>。断面が円形でゴミがたまりにくく、蓋を無くした一体型なのでガタツキ騒音もなし。
前田製管本社前に架かる「酒田未来橋」。このコンクリート製品ももちろん前田製管製
前田製管本社前に架かる「酒田未来橋」。このコンクリート製品ももちろん前田製管製

 

上司や先輩から影響を受けたエピソードがあれば……。

入社10年になりますが、つねに上司には恵まれ、忘れられないアドバイスが幾つもあります。特に印象に残っているのは、入社2年目で私がミスを犯してしまったときのこと。自分でミスに気づきながらも言い出せずに事態をより深刻にしてしまったのです。「間違いはだれにでもある。それを真摯に受け止めることで成長していくんだ」と怒られるどころか勇気づけてもらいました。また、営業所勤務の時に、「忘れるのであればとにかく紙に書け」と上司に言われ、今でもその教えを守ってしっかりメモをとる習慣が付きました。
私の机の上にはその時から書きためている5年分のメモ帳が積んであります。折に触れ、この仕事のやりがいを熱く語ってくれる上司や先輩も多く、常々感謝しています。

新製品の設計について上司に相談をする鎌田さん
新製品の設計について上司に相談をする鎌田さん

仕事をする上で大事にしていることは何ですか。

開発業務という仕事柄、お客さまに製品の説明をする機会も多いのですが、そうした社外的にも、また社内でも、相手が話しかけやすい、質問しやすい雰囲気をつくるようにしています。相手が何を考え、自分に何を伝えたいのかを考え、相手が望む回答に近づけられるように努めています。

 

鎌田さんの今後の目標を教えてください。

今は、設計に携わっている部分が多いのですが、メーカーとして製造部門の知識や販売に関する知識も身に付けていきたいですね。開発業務では、売る方も買う方も、どちらからも喜ばれる製品開発ができればいいと思っています。そして、いつかは私が両親や諸先輩方を尊敬しているように、私自身も尊敬される存在になれたらいいですね。

質問の一つひとつに言葉を選びながら真剣に答えてくれた鎌田さん。仕事に対してもお客さまに対してもとても誠実な人といった印象でした。実家のある秋田の下水道や道路の整備状況を気づかう郷土愛の持ち主でもあります。「自分ががんばることで自身も成長し、会社も伸びてくれれば何よりの喜び」という言葉からは、最近ではあまり聞かれなくなった“愛社精神”が感じられました。

 

「一般の方にはわかりにくいですよね」と製品の特徴をイラストで説明してくれる鎌田さん
「一般の方にはわかりにくいですよね」と製品の特徴をイラストで説明してくれる鎌田さん

(2008/10/31取材)

前田製管株式会社

小石、砂、水、セメント。地球が与えてくれる自然の素材を暮らしに役立つさまざまなセメント製品へ。このシンプルな地球資源に何かをプラスして地球に役立つものを創っていくことこそがマエタの仕事であり、使命。つねにコンクリート+αから何かを創り出している。

前田製管株式会社
代表者:取締役社長 前田 直之
設立:1948年9月
従業員数:381名
事業内容:コンクリート製品の製造・販売
所在地:山形県酒田市上本町6-7
TEL:0234-23-5115
FAX:0234-23-0093
URL:http://www.maeta.co.jp/

紅花染の達人
[動画あり]


末野隆英さん

紅花染の達人 末野隆英さん
昭和35年生まれ。山形県立米沢工業高等学校繊維工学科を卒業後、株式会社新田に就職。3年間の住み込みで織りの修業を積み、後に染め職人としての道を歩み始める。紅花染をはじめとする草木染一筋二十数年、微妙な色も見事に染め分け、伝統を守りながらも新たな色の追究にも余念がない。

紅花の栽培から染め、織りまで
「最上紅花」による紅色を復元、普及へ
寒さ厳しい季節に、冷水による染めの作業が続く
寒さ厳しい季節に、冷水による染めの作業が続く

新田家は、武士の家で代々続いてきた機屋。米沢藩主・上杉鷹山によって始められた絹織物・米沢織を守り育ててきました。そんな新田家の3代目にあたる先代の新田秀次が、化学染料に押されて幻と化していた最上紅花を甦らせるべく昭和38年に紅花染の研究に着手。試行錯誤の末に習得した紅花染を米沢織に生かすことに成功しました。以来、株式会社新田では、紅花をはじめ、藍、くちなし、ざくろ、くるみなどを原料とする草木染から織りまでを一貫して行っており、さまざまな賞を受賞するなど、伝統工芸の分野で高い評価を得ています。

機織りの音を聞いて育ち、米沢織の世界へ
鮮やかな紅花染で新たな伝統を築く

父親も機織りの仕事をしていたことから自然にこの世界に飛び込んだという末野隆英さん。その職人としての修業は、いつしか織りから染めへ。草木染に携わるようになって24年、新田で織られる米沢織のほとんどを末野さんが手掛けています。紅花染めは、寒さの最も厳しい時期でないと、あの鮮やかな色が出ないというので染めはもっぱら真冬の作業。春から夏にかけては、紅花の種まき、収穫、間引き、花摘み、そして紅餅づくりに精を出します。紅餅とは、生花から作る染料のこと。摘んだ紅花の花びらを自然発酵させてから、丸めやすい状態になるまで臼でつき、煎餅状にして乾燥させたもので、染料や口紅のもとになります。末野さんは、これらすべての工程を取り仕切り、より美しい紅花染を追究し続けているのです。

そんな末野さんを工房に訪ねたのは2月の上旬。暖冬とはいえ、さすがに吹く風は冷たく、水も刺すように冷たい中、寒ざらしといって紅花で染めた絹糸を冷たい空気にさらす作業を行っていました。染めてはさらす、それを幾度も繰り返して思い描く紅色へと近づけていきます。染めを重ねること八回で八塩染めといい、そこまでして初めて日本の伝統色、韓紅(からくれない)に染め上げられるのだそうです。

最初の染めでは、淡い朱色
最初の染めでは、淡い朱色
数回にわたって紅花染を施した絹糸を「寒ざらし」する末野さん
数回にわたって紅花染を施した絹糸を「寒ざらし」する末野さん

紅花をはじめ、さまざまな草木染を追究、
多彩な色彩でふるさと米沢を表現

長年、紅花染に取り組んでいる末野さんでもまったく同じ色を出すことはできないというほど繊細な紅花染。その年の紅餅の出来具合や染める時の気候、赤を発色させるための米酢や烏梅(うばい)の加減によっても微妙に色合いが変わってくるのです。その紅色の探究に加えて、末野さんはさまざまな種類の草木染を手掛けています。アカネ、くちなし、ざくろ、藍、最近ではサクランボの木やリンゴの木の枝を煮出して染料にすることにもトライしています。

「自然界にはこんなに緑があふれているのに、草木染で緑を出そうとするとすごく難しいんです。これからは、米沢らしい原料から米沢らしい色を出すことに挑戦していきたいですね」と末野さん。真冬の水仕事で大変な毎日。それでもつややかできれいな末野さんの手がとても印象的でした。昔から女性の冷えなどによいと薬用としても重宝されてきた紅花だけに、その効用に違いないと勝手に納得してしまいました。

八塩染で韓紅(からくれない)に染め上げられた絹糸
八塩染で韓紅(からくれない)に染め上げられた絹糸
(2009/2/2取材)


株式会社新田

株式会社 新田

株式会社新田は、上杉神社からほど近い閑静な場所に、昔ながらの武家屋敷風の佇まいを見せている。門を入ると機織りの音がどこからともなく聞こえてくる。天然の草木で丹精込めて染められた多彩な糸で、一糸一糸織り込まれる米沢織に対する国内外の評価は高く、日本工芸展や伝統工芸新作展等での入選、伝統文化賞や米沢市功績章など受賞歴も多数。複数回にわたって皇族方が公式ご訪問されるという名誉にも与っている。

株式会社 新田
代表者:代表取締役 新田 英行
創業:明治17年
事業内容:紅花染をはじめとする草木染、米沢織の製造と販売
所在地:山形県米沢市松が岬2-3-36
TEL:0238-23-7717
FAX:0238-23-7727
URL:http://www3.omn.ne.jp/~nitta/

Categories: 山形の達人

株式会社ニクニ白鷹

株式会社ニクニ白鷹

ふるさとを離れて大きく成長。
会社と地元、
次世代を担う若きリーダーとして
新たなステージへ。
株式会社ニクニ白鷹(白鷹町)

株式会社ニクニ白鷹は、半導体露光装置や映像光学機器、医療機器など様々な分野の製品において、機械加工・表面処理・組立の技術を提供している会社。全国各地を飛び回り、製造業の現場でコンサルタントとして経験を積みUターンした大場さんに、現在の思いをお聞きしました。

Uターンのきっかけを教えてください。

大学を卒業後、7年ほど無人金型工場の立ち上げプロジェクト参画と製造業のコンサルタントとして全国の製造現場へと赴いていました。長男ということもあり、幼い頃から家を継ぐことは意識していましたが、仕事にやりがいも感じていましたし、スキルアップも楽しく経済的にも安定していましたので、このまま東京で仕事を続けていきたいという思いがありました。しかし、祖父母が相次いで他界し、幼い頃から可愛がってもらった祖父母に対して何の恩返しもできなかった事への申し訳なさが溢れ、この頃からふるさとへの想いが強くなっていきました。やりがいのある仕事と、ふるさとでの生活、どちらを優先すべきか1年ほど悩む日々を過ごしました。ちょうど28歳頃のことでしたので、転職するなら20代のうちが良いのではないかと思い始めた頃に、妻から「思い切って帰ろうよ。」と背中を押され、帰郷を決めました。しかし、Uターンを決意したものの、都内で置賜の求人情報を得ることがとても難しかったことには驚きました。情報が得られず、腰を据えて転職活動をする為、転職先を決めぬまま帰郷。不安を感じていましたが、縁あって、業務改革を目指すべく人材を探していた現在の職場 ニクニ白鷹と出会いました。

現在の仕事内容を教えてください。

当社は、半導体露光装置や映像光学機器、医療機器など様々な分野の製品において、機械加工・表面処理・組立の技術を提供している会社です。その中で私は、製造現場と調達を担当する生産管理の間を取り持ち、業務をより円滑に進める役割を担っています。入社後2年ほどは、社長付という立場で社長のサポートをしながら、会社全体のことを学びました。その後、現在は「納期達成率アップ」を目標に掲げ、製造現場の担当者、そして生産管理の担当者それぞれとコミュニケーションを密にしながら問題点を探し出し、業務の効率アップに取り組んでいます。

大場貴史さんのプロフィール

山形県立長井高等学校に入学

東京工科大学工学部に入学

東京都内のベンチャー企業
株式会社インクス
 (現在の株式会社SOLIZE)に入社

株式会社ニクニ白鷹に入社
1984年生まれ。山形県長井市出身。
長井高等学校を卒業後、東京工科大学 工学部に入学。卒業後、東京都内のベンチャー企業 株式会社インクス(現在の株式会社ソライズ)に入社し約7年間、無人金型工場の立ち上げプロジェクト参画と製造業のコンサルタント業務にあたる。
2013年に地元長井市に帰郷し、株式会社ニクニ白鷹へ入社。現在は製造部 製造管理課 係長として製造統制業務を担当している。二児の父親。

山形で働いてよかったと思う点は?

1番の変化はプライベート面ですね。一言で言うと、人間らしい生活ができるようになったということでしょうか(笑)。東京での仕事は、やればやるだけ成果がでることが面白く、勤務時間は青天井。ひたすら働き詰めの日々でした。食事も100%外食で、相当体に負担をかけていたと思います。今は、真逆ですね。生活リズムも安定していますし、朝夕の食事も自宅でゆっくり。そして昼食はもちろん妻の手作り弁当です。すっかり健康的な生活になりました。また、休日には地元の友人とキャンプやバーベキューを楽しんだり、時には飲みに行ったり、ゆとりのある生活になりましたね。また、父と母が孫を可愛がっている姿をみると、「ああ、帰ってきて良かったな」と思いますし、雪下ろしや地域活動など、父母だけでは負担が大きかったであろうことをフォローすることができ、それが心の安定につながっています。

製造現場の担当者、そして生産管理の担当者と進捗状況を随時確認。細やかなコミュニケーションを図っている。
製造現場の担当者、そして生産管理の担当者と進捗状況を随時確認。細やかなコミュニケーションを図っている。

この会社に入ってよかったと思うことは?

ニクニ白鷹は、神奈川県に本社を持つ株式会社ニクニのグループ会社なのですが、ニクニグループが力を入れているのが「社員教育」。従業員のやる気に応えてくれるサポートプログラムがあり、きちんとしたビジョンさえあれば、やりたいことに挑戦させてくれるのが嬉しいですね。私はイタリアへの研修に行かせてもらい、世界一の加工機の見本市やイタリアの製造会社を数社まわり、海外の製造現場の今を知ることができ、とてもいい経験になりました。

総務課の樋渡さん
総務課の樋渡翔さん。「仕事が早く、メリハリを持って業務にあたる大場さんから、日々刺激をもらっています。」
印象に残っているエピソードはありますか?

先ほどお話したイタリアでの研修ですね。日本は1つのものを作るのに、複数の工程(機械)を経て作るのに対し、イタリアなどの欧州は、1つのものを作るのに、1つの機械の中で複数の工程を行い、ポロッと生み出すという新しい製造の考え方の流れがあることに驚き、新鮮に感じられました。国内、ましてや社内という狭い世界に閉じこもっていてはいけない、常に新しい考え方を取り入れる為、外を見なければダメだと強く感じた出来事でした。

細やかなコミュニケーションを図っている。
影響を受けた人はいますか?

7年あまり在職していた、前職の仲間やクライアントとの時間は、私の仕事に関する考え方に大きな影響を与えていると思います。昼夜、休日に限らず仕事漬けの日々でしたが、それは「まぁ、こんなもんでいいか。」という妥協ありきの仕事ではなく、目標を常に持ち、より良い仕事をしよう、という意識が高かったからだと思います。「常に人の想定を超えることを意識する。(依頼されたこと以上のアウトプットをする。)」「慣習に囚われることなく絶えず変化し、革新する。」「場面により視点の高さを変える(時に俯瞰的に、時に視点を下げて)」「現状を把握し、在りたい姿となる高い目標を描く」など、今の私が大切にしている理念に繋がる多くのことを学びました。

今後の目標を教えてください。

直近の目標としては、現在任されている「納期達成率の向上」をできるだけ早くクリアすることですね。長期的な目標としては、刺激的な会社づくりに携わっていきたいと思っています。そのための基盤を作るべく、プライベートの時間を使って国家資格の取得を目指し勉強しています。現在当社では請負のものづくりを行っていますが、新しいトレンドのものづくりや、仕組みを取り入れる等、若い人が常に挑戦することが出来る環境をつくり、良い人材がどんどん集まってくるような会社づくりに携わりたいと思います。

大場さん
力強くビジョンを語る大場さん

山形へU・Iターンを考えている方へメッセージをお願いします。

まず「決める」ことですね。「自分にとっての幸せは何か。」ということを基準に、恥ずかしがらず、自分としっかりと向き合って、今後の人生の行く先を決めることが大切だと思います。また、ある程度の蓄えも必要ですね。しっかり備えをし、しっかりと決めて動けば、なんとかなると思いますよ。

ふるさとから離れた土地で出逢った仲間と切磋琢磨し、大きく成長してふるさとへ戻った大場さん。会社だけでなく、地域発展を担う若きリーダーとして、今後も活躍してくれるに違いありません。

(2017/11/27取材)


株式会社ニクニ白鷹

株式会社ニクニ白鷹
半導体露光装置や映像光学機器、医療機器など様々な分野の製品において、機械加工・表面処理・組立の技術を提供。また自動車部品・産業用機械部品の製造のほか、近年は製造装置等の設計・製造にも取り組む。量産品の生産拠点が海外へシフトする中、職人の技術でつくる「ハンドメイド品への回帰」にも力を入れ、「究極のスピード」をモットーに短納期の部品加工も得意としている。また、生産業務に関する改善策の提案なども行うことで、お客様に部品を提供するだけでなく、頼れるパートナーとして、価値のある提案を続けている。

代表者:代表取締役社長 長澤 一雄
創立:2013年4月1日
従業員数:100名
事業内容:半導体露光装置、液晶デバイス露光装置、光学機器 等 精密機械部品の機械加工、表面処理、組立加工
所在地:〒992-0772 山形県西置賜郡白鷹町横田尻1367
TEL:0238-85-5811(代表)
FAX:0238-85-0672
URL: https://www.nikuni-shirataka.co.jp/