キサゲの達人
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奥山英治さん

キサゲの達人 奥山英治さん
2000(平成12)年、株式会社エツキ入社。製品事業部製品組立課に所属。工作機械組立係において、キサゲ作業を担当。エツキ入社後、同僚3名と他社での「キサゲ」研修を経て、ただ一人継続。経験を積むことで伝統の技を体得し、現在は後輩4名を指導しながら、さらなるスキルアップに励んでいる。

伝統技能と技術開発を両輪に 高品質の製品づくり
1~3マイクロメートルの単位
1~3マイクロメートルの単位で、微妙に調整しながら削る。機械にはできない技。

株式会社エツキは、印刷機械や圧着機などの産業機械をはじめ、フライス盤や各種工作機械の製造を行っている会社です。創業は1967年、この40年間で培ってきた高度な技術力とノウハウを生かし、積極的に技術開発に取り組む一方で、“キサゲ”という難度の高い伝統技能を守り、職人を育て続けています。伝統と先進の融合によって、多様なニーズに対応する「高品質」の製品づくりを実現。2005年にはコンパクト液体充填機の開発で「ゆとり都山形イノベーション大賞」を受賞しました。

汎用工作機械には欠かせない モノづくりの基本“キサゲ”
汎用フライス盤の一部
キサゲが施された、汎用フライス盤の一部

工作機械を中心に食品機械や印刷機械などを製造販売するエツキの製造業としての強みは、最先端の技術開発と、難度の高い伝統技能である“キサゲ”の両方が得意であるということ。キサゲとは、スクレパーあるいはキサゲと呼ばれる工具を使って金属の表面を削り、平らにする手作業のことで、汎用フライス盤などの金属と金属が摺り合う部分(摺動面)に施されます。機械による鏡面加工では出せない完璧な平面を人間の手によってつくり出し、その上で油がたまる微細な溝を彫り上げて滑らかな動きを可能にするものです。

現在、このキサゲができる企業は極端に少なくなっていますが、エツキには5人のキサゲ職人がいます。金属加工では、今でも肝心な部分に人間の感覚、技能が必要とされており、エツキではキサゲを重要な技能として残し、さらにレベルアップさせているのです。その技を見込んでキサゲ加工を依頼してくるメーカーも増えてきているといいます。

精度の高さでは定評のある 若き“キサゲ職人”たち
汎用フライス盤
ものづくりには欠かせない汎用フライス盤

5人いるキサゲ職人のリーダー的存在が奥山英治さん。40歳の奥山さんが最年長という若い職人集団ではありますが、その技術力、精度の高さには定評があります。そんな奥山さんがエツキに入社したきっかけは、会社見学に訪れた際に今まで見たことのない機械を目にし、そこで働く人々の「職人技」を感じさせる仕事ぶりに憧れたから。もうその頃から職人指向が芽生えていたようです。その後、他社でのキサゲ研修を経て職人としての技を磨いて5年、製品の品質を大きく左右するキサゲ部門を任されています。

技術革新が進むほど、そのベースマシーンとなる工作機械に求められるのはより高い品質。繊細な日本人の感覚が可能にするキサゲ技能は、台頭著しい諸外国からも脅かされることのない特殊な分野といえるのではないでしょうか。

「10年で一人前といわれる世界、自分自身もまだまだ修業の身。根気のいる仕事ですが、感覚を研ぎ澄ますことで機械以上の精度を生み出す、普通の人ではできない仕事という自負を持って取り組んでいます。」(奥山さん)

キサゲ加工
金属同士が、滑らかに動くのはキサゲ加工のおかげ
(2008/1/10取材)

株式会社エツキ

株式会社 エツキ

株式会社 エツキでは、2002年にISO9001:2000の認証を取得。よりよい「ものづくり」にこだわり、常にお客様の満足を第一に。高品質、短い納期、低コストを実現するために24時間稼働の無人加工ラインを導入するなど、最新鋭の設備と徹底した技術管理の下、素材から機械加工、塗装、組立、テスト、出荷まで一貫生産体制を確立している。
株式会社 エツキ
代表者:代表取締役会長 早坂悦男
代表者:代表取締役会長 早坂幸起
設立:1967年9月
従業員数:134名(2007年4月現在)
事業内容:各種自動化専用機・各種産業機械の設計、製作および販売
所在地:山形県村山市大字稲下1403-1
TEL:0237-56-3511
FAX:0237-56-3510
URL:http://www.etsuki.co.jp

Categories: 山形の達人

ミクロン精密株式会社

ミクロン精密株式会社

山形の環境の良さと
会社の雰囲気の良さが
働く意欲と向上心に繋がる。
ミクロン精密株式会社(山形市)

ミクロン精密株式会社は、センタレスグラインダ(心なし研削盤)の開発、製造で知られる工作機械メーカー。センタレスグラインダとは、自動車や家電、医療機器など、幅広い分野で使われる精密部品をつくる工作機械で、素材を精密に丸く仕上げるという特徴があります。工業系の世界とは無縁だったという伊藤さんと荒井さんに、この会社を選んだ理由や、山形で働く魅力をお聞きしました。

Uターンのきっかけを教えてください。

私は宮城県出身で、進学で山形に来ました。学生時代を山形で過ごして、とても住みやすいと感じたんです。先生や友達など周りもいい人たちばかりで、このまま山形に就職してもいいかなと思っていました。進路指導の先生から「ミクロン精密は地元に密着したいい会社だ」と聞いて、受けてみようと。工業系なので全く畑違いの分野でしたが、会社見学で雰囲気の良さを感じ、ここだったらがんばっていけるかなと思いました。

就職活動はどうでしたか。

短大は2年しかないので、就職活動は1年の終わりから始めました。熱心に指導してくれる先生が多く、企業研究会や合同説明会の参加方法や面接の仕方、SPI(総合適正検査)対策なども教えてくれて、とてもためになりました。

現在の仕事内容を教えてください。

輸出貿易管理室というところで、貨物の輸出入の管理をしています。弊社の製品は、海外のいろいろな国のお客様に使っていただいているので、輸出する機会が多くあります。輸出は、外為法(外国為替及び外国貿易法)に従って行わなければいけないので、この法令に適合しているか、経済産業省の許可が必要か、などの確認作業を行っています。

伊藤まどかさん
輸出入物を管理する立場の伊藤さん。営業の方とも頻繁に打ち合わせ
伊藤まどかさん
「みんなでつくった機械が、無事に通関し、お客様へ届いたと聞くと安心します」と伊藤さん

伊藤まどかさん
伊藤まどかさんは宮城県出身のIターン就職
伊藤まどかさんのプロフィール

宮城県古川女子高等学校 卒
(現:宮城県古川黎明高等学校)

山形短期大学 国文科 卒
(現:東北文教大学短期大学部)

ミクロン精密株式会社入社
1985年生まれ。宮城県大崎市出身。山形短期大学国文科を卒業後、2006年ミクロン精密株式会社へ入社。技術部技術1課にて勤務後、2014年から輸出貿易管理室に所属。

Uターンのきっかけを教えてください。

実家が近所なので、「ミクロン精密」は、小さい頃から身近に感じていました。大学生になり、海外と取引のある会社に入りたいなと思って就職活動をしていた頃、再びミクロン精密と出会ったんです。「蔵王から世界へ」という経営理念にもひかれました。進学は東京の大学だったのですが、就職は地元でと考えていたのも理由です。家族が近くにいるという安心感がありますし、今後のことも考えると山形の方がいいかなと。

就職活動はどうでしたか。

大学3年の時、8ヶ月間中国へ語学留学をしていて、日本に帰ってきたのが大学4年の4月です。そこから就職活動をしたので、とても焦りました。ただ、山形は企業説明会もいくつか残っていたので助かりました。就職課に相談したり、友人と面接の練習をしたり・・・。面接は、恥ずかしがらずにちゃんと練習した方がいいと思いましたね。

現在の仕事内容を教えてください。

私は技術部で、製造した機械の仕様内容を出荷前に確認し、仕様書を修正、清書する仕事などをしています。入社してまだ1年も経っていないので、技術担当の方や設計担当の方から教えてもらいながら正確な書類作成を行っています。輸出する製品の出荷書類を作成し、伊藤さんから確認してもらうこともあります。

荒井友花さん
仕様書に基づき、現場で機械の確認をする荒井さん
荒井友花さん
荒井さんが仕事をする上で大切にしているのは向上心。「何事にも向上心を持って取り組んでいます」

荒井友花さん
東京からUターン就職した荒井友花さん
荒井友花さんのプロフィール

山形県立山形北高等学校 卒

拓殖大学外国語学部中国語学科 卒

ミクロン精密株式会社入社
1991年生まれ。山形県山形市出身。拓殖大学外国語学部中国語学科を卒業後、2014年ミクロン精密株式会社へ入社。技術部技術1課にて技術業務に関する事務全般を担当。

この会社に入ってよかったと思うことは?
荒井
社内行事が多く、他部署の方と交流する機会がとても多いのがいいですね。芋煮会やテニス、フットサルなど・・・。いろんな交流があると、顔と名前も早く覚えられます。
伊藤
人柄がいいというか、相談しやすい雰囲気があります。社内の雰囲気がいいと、仕事も円滑に進んで行きますし、みなさんがそういう環境づくりをしていると感じます。
影響を受けた人は?
荒井
新人なので、毎日みなさんから刺激を受けています。女性の先輩たちはとても優しく、面倒見がよい方たちばかり。同じ部署の先輩は、電話応対からマナー、言葉づかいなど丁寧に教えてくれます。自分に自信が持てますし、向上心を持って仕事に取り組むことができます。
伊藤
男性の先輩方は、いつもお客様のニーズを敏感に感じ取り、お客様に満足していただけるかを考えて行動されています。職人気質の方が多く、難しい仕事に真摯に取り組んでいる姿勢は、見ていてかっこいいなと思いますし、自分も恥ずかしくないように仕事をしようという気持ちになります。
今後の目標を教えてください。
荒井
まだまだ覚える事が多いので、早く一人前になって仕事をまかせてもらえるようになりたいです。今は中国語で作成された仕様書の、体裁を整える程度しかできないので、?学で学んだ中国語をもっと活かせるようにしたいと思います。
伊藤
輸出入管理という非常に大切な工程が、少しでも円滑にまわるような仕組みづくりをすることで、ロスなくお客様に製品提供ができるようになりたいと思います。
荒井友花さん
伊藤まどかさん
主力製品
ミクロン精密の主力製品であるセンタレスグラインダ(MPC-250HP-CS型)
    

    

部品例
センタレスグラインダを使って加工できる部品例
工場内

山形へU・Iターンを考えている方へメッセージをお願いします。
荒井
都会はとても便利で良いのですが、山形には山形なりのいいところがあります。特に家族の存在を身近に感じて働けるのはとても幸せなことで、Uターンすれば、家族の大切さをより実感できると思う。就職活動はとても大変ですが、途中で諦めたりせず、努力すれば絶対いいことがあるので頑張って欲しいところです。
伊藤
山形は自然が豊かで人も温かく、独特の文化を生かした地域づくりをしているところが魅力です。環境が豊かであれば、仕事と生活の調和もとりやすいと思うので、雪の多さなどに不安を感じるIターン希望の方もいると思いますが、それ以上に心健やかに暮らしていける山形県の良さを知ってもらいたいと思います。

真っ直ぐな、輝く瞳で語る二人。醸し出す雰囲気もどことなく似ていました。荒井さんは伊藤さんを「あこがれの先輩」と言い、伊藤さんは荒井さんを「与えられた仕事を確実にこなすだけでなく、プラスアルファの考えを持っている」と高く評価します。よく相談や話をする二人の仲の良さが、ミクロン精密の人間関係の良さを表しているように感じました。

荒井さんと伊藤さん

(2015/2/9取材)

ミクロン精密株式会社

ミクロン精密株式会社
センタレスグラインダ(心なし研削盤)のトップメーカー。「限りなき円を追及する」というコンセプトのもと、半世紀にわたり技術開発力の向上に取り組み、その加工精度は、社名のミクロンを超えるナノレベルに達している。世界中のユーザーから高い評価を得ている製品の納入実績は6千台以上。アメリカ、タイに営業拠点を築き、グローバルに展開。2013年には、蔵王みはらしの丘に、研究開発の強化を目的とした「R&Dセンター」を設立。

代表者:代表取締役社長 榊原 憲二
創立:1961年10月6日
従業員数:226名
事業内容:心なし研削盤(センタレスグラインダ)及び内面研削盤(インターナルグラインダ)とその周辺装置の製造・販売
所在地:山形県山形市蔵王上野578-2
TEL:023-688-8111
FAX:023-688-7115
URL:http://www.micron-grinder.co.jp/

他の追随を
許さない精密度


アヒコファインテック株式会社

世界にはばたくメイドイン山形
他の追随を許さない精密度
アヒコファインテック株式会社(新庄市)

カバーガラス カバーガラス

アヒコファインテックの主力商品は、CCDカメラの心臓部である半導体を守るカバーガラス(写真上右)。ミクロ単位の塵も許されない精密な世界での加工作業には細心の注意と技術が要求される。暗室のクリーンルームでの目視による最終検査(写真上左)。

世界が求める光学ガラスを一貫生産

アヒコファインテック株式会社は、1986年にアヒコ光学(最上郡鮭川村)より市場の高精度品質の要求および事業拡大のために分離独立。高精細な研磨に不可欠の豊富で質のよい地下水に恵まれた新庄市に設立創業されました。水質の良さを物語るかのように、隣には最上地域を代表する蔵元、最上川酒造があります。CCDカメラやプロジェクターなど、光学機器の内部に使用される光学ガラス等の生産を行っており、特に研磨加工と蒸着加工に定評のある会社です。

蒸着とは、ガラスに薄い膜を貼り付ける作業(成膜)のことで、これにより、光をより多く通したり、反射させたり、吸収させたりできます。紫外線や赤外線をカットしたり、反射を防止し透過率を高めたりできるのです。アヒコファインテックでは、成膜材料を蒸気にして密着させる真空蒸着成膜とプラズマ状態で放電させて密着させるスパッタ成膜を行っています。

さらに、研磨技術の高さにも注目です。現在の限界といわれている厚さ0.15mmガラスの加工が可能という、日本でも数社しかない企業の一社。それだけに、主な取引企業には、世界のビッグネームが名を連ね、まさに彼らの製品を通して世界に羽ばたいているといえるでしょう。ビデオカメラやデジタルカメラなど、私たちが何気なく使っている製品にも内蔵された光学ガラス、それはアヒコファインテック株式会社の製品かもしれません。

両面研磨機
両面研磨機。加工可能サイズは、4mm角~400mm角、丸は直径5mm~600mm、厚さは0.2mm以上。この作業後、ガラスは透明になる。
スパッタ成膜装置。
成膜材料をプラズマ状態で放電させガラスに密着させるスパッタ成膜装置。

「できる、できる、必ずできる」の精神で

この企業の経営方針には、「私達は、常に社会に必要な集団であり続けるため『できる、できる、必ずできる』の精神で、技術を磨き合い、知恵を出し合い、信頼し合い、互いの幸福を目指し、行動する」とあります。物事を否定から入らないという前向きな姿勢が今日の成長を支えてきたのでしょう。高度化とともに多様化する取引先からのニーズに対しても試作を繰り返しながら要求に応えていくという、小回りのよさ使い勝手のよさを発揮し、信頼関係を強固なモノにしています。

しかし、今やアヒコファインテックの競争相手は日本国内の企業だけではありません。特に近年は、中国等の進出がめざましく、クオリティによる差別化がますます重要になってきています。その質の高さから世界が求めるガラスはやはり日本のものが多いのです。「クオリティの保持という観点からも、研磨技術の向上とともに、検査の精度アップにも力を入れています。」と話すのは企画管理課の今田健一課長。現在、25名にものぼる検査体制を敷いています。さまざまな加工工程において機械化が進んでいますが、検査はやはり目視が頼り。周囲が暗い中、ガラスの部分だけを明るくすることにより肉眼で3~5ミクロンまでチェックできるといいます。

「できる できる 必ずできる」の文字
経営方針にも盛り込まれている「できる できる 必ずできる」の文字が、応接室の額にも飾られていた。実に力強く、説得力のある言葉。
今田課長
光学ガラスの性質などについて詳しく説明をしてくれた企画管理課の今田課長

環境問題への意識も高く

企業として地域環境との共生・調和を重要課題の一つとして掲げ、法規制や条例の遵守、廃棄物排出量の削減等にも積極的に取り組んでいます。例えば、排水や産業廃棄物に関しては、県の指導を上回る月1回の測定を実施し、周辺住民の生活を脅かすことのないように十分配慮しています。

従業員は、約120名。企業としてもマンパワーを最重要視しています。人材を大切にする企業らしく定期的に研修会を実施し、互いのスキルを高めるとともに人的交流を深めています。また、社内のいたるところに従業員から募集した標語が掲げられており、士気の高揚とともにしっかりとした意志の統一が感じられる企業です。

製品
(2007/12/18取材)

アヒコファインテック株式会社

アヒコファインテック株式会社

光学ガラスの研磨加工技術では日本屈指。現在のカバーガラスの主力は厚さ0.5 mmという中、0.15mmという画用紙程度の薄さのガラスの加工も行っている。会議などで使われる液晶プロジェクターの国内シェアは約50%。1997年東京に営業部門を設置してからは独自のルートを開拓し、取引先は全国各地に広がっている。

代表者:代表取締役 安彦 宗一郎
設立:1986年4月
従業員数:119名
事業内容:電子デバイス等の構成部品となる光学ガラス、石英
     ガラス、産業用特殊ガラスの切断・切断・精密平面研磨加工及び蒸着加工
所在地:山形県新庄市十日町1501-3
TEL:0233-23-3714
FAX:0233-23-3713