有限会社山形工房

世界に認められる
ものづくりで
未知の可能性を切り拓く毎日
有限会社山形工房(長井市)

山形県長井市の有限会社山形工房は1973年に創業。木地玩具製造から始まり、現在は「競技用けん玉」の生産量で日本一を誇る企業です。家業を継ぐためにUターンした梅津さんに、地域の名産品としてのものづくりに携わる魅力をお聞きしました。

梅津雄治さん
Uターンのきっかけを教えてください。

大学時代は公務員志望で、正直なところ家業のけん玉づくりを継ぐつもりはありませんでした。卒業後は公務員として勤めていたのですが、ある日帰省してみると、「けん玉」を愛してくれる人が多いことに驚いたんです。音楽に合わせダンスのようにけん玉をする動画をわざわざ送ってきてくださったり、海外からの問い合わせ・引き合いが多く英語での対応が課題になっていたりと、それまで想像もしていない状況に衝撃を受けました。それから自分も海外を相手に挑戦したいという気持ちが強くなっていき、Uターンを決意しました。

現在の仕事内容を教えてください。

会社の代表として、当社のけん玉を選んでいただくための営業活動がメインになります。これにはけん玉自体やその楽しさを知ってもらうための普及活動も含まれます。仲間とプロジェクトを組んで、地元のイベントをはじめ海外でもデモンストレーションを行うことが多いです。先日参加したミラノ万博では、けん玉の認知度も高く、地元のパフォーマーにも参加してもらい大盛況をいただきました。

梅津雄治さんのプロフィール

中央大学経済学部卒業

警視庁に入庁

有限会社山形工房に入社
1985年生まれ。山形県長井市出身。中央大学経済学部を卒業後、警視庁に入庁。2008年10月有限会社山形工房に入社。現在は同社の代表取締役社長を務める。

ミラノ万博では現地の愛好家も参加
ミラノ万博では現地の愛好家も参加
精密さが求められる製品づくり。時には製造に携わることも
精密さが求められる製品づくり。時には製造に携わることも
      

山形で働いてよかったと思う点は?

まずは生まれ育った土地で、家族と暮らしながら働けることです。地元の名産品として認めていただける、ものづくりに携われることも嬉しいですね。自分の仕事を通して、ふるさとの活性化に貢献できることは、大きなモチベーションになっています。

この会社の好きなところは?

最上級のものづくりに妥協なく取り組む姿勢です。当社には創業者から受け継がれる「自然のめぐみ 木の美しさ 伝統と現代的な技」という言葉があります。けん玉は地元の資源である木の美しさを生かした、日本の良き伝統文化です。また競技用の商品ともなると、その寸法精度は0.01mm単位で求められる難しい製品でもあります。現代的な機械や技術も取り入れながら、常に最高の品質を追求する姿勢を大切にしています。

印象に残っているエピソードはありますか?

海外の販路開拓に悪戦苦闘したことですね。当時はノウハウのない状況から様々なアドバイスやサポートを受けて取り組みました。今の状態を確立できたことには、大学時代に学んだ経済学や、海外へのひとり旅で現地の方と交流してきた経験も活きたと思います。

影響を受けた人はいますか?

家業として受け継がれてきた中で、いちばん大切にしてきたのは心だと思います。確かな品質をお客様に届ける。これにプライドとこだわりをもって取り組んできたのが創業者の祖父と製造現場を取り仕切る兄だと思いますので、特にこの二人をとても尊敬しています。

けん玉展示
地元・長井市で行われた、世界記録に挑戦するイベントの様子。けん玉は老若男女を問わずに楽しめるのも魅力
地元・長井市で行われた、世界記録に挑戦するイベントの様子。けん玉は老若男女を問わずに楽しめるのも魅力

 

今後の目標を教えてください。

けん玉のように伝統文化からはじまり、競技として親しまれるまでに発展したものは世界でも稀です。ですから日本が誇れるこの文化を、さらに広く世界に発信してきたいですね。また、ものづくり企業として製品の品質を追求していきます。
目指すのは、本気でけん玉に取り組む人たちに喜んで使ってもらえるけん玉。本気でやるなら山形工房のけん玉でなければ、と言ってもらえるよう最高の品質を常に求め続けていきます。

山形へU・Iターンを考えている方へメッセージをお願いします。

仕事をすることの意味のひとつに、自分の力で地域や社会にいかに貢献できるかということがあると思います。地元で働けるということは、自分の仕事の成果が故郷に還元されるということです。都会で働きたい、都会で自分の力を発揮したいと思うのもひとつですが、地方から地元の良さを都会に発信する選択肢もあると私は思います。

 優れたふるさと名品として「The Wonder 500」(経済産業省)の認定を受けた競技用けん玉「さくら ピンク」と「さくら 黒」
優れたふるさと名品として「The Wonder 500」(経済産業省)の認定を受けた競技用けん玉「さくら ピンク」と「さくら 黒」

(2016/1/21取材)

有限会社山形工房

有限会社山形工房
木地玩具、民芸品を製造・販売する企業として創業。昭和60年より競技用けん玉の製造を開始。平成2年、競技用けん玉の生産量日本一に認定される。けん玉はストリートカルチャーに敏感な若者の間で流行し、様々な企業・ブランドとのコラボレーションしたけん玉も作成。品質の向上に努める一方、デザイン性の高い商品も多数作成している。
    

代表者:梅津 雄治
創立:1973年10月
従業員数:13名
事業内容:日本けん玉協会公認の競技用けん玉の製造、美術工芸品の製造・販売、木地玩具及び民芸品の製造・販売
所在地:山形県長井市寺泉6493-2
TEL:0238-84-6062
FAX:0238-84-6061
URL:http://www.kendama.co.jp/

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