株式会社シェルター

世界にはばたくメイドイン山形
新境地へ導く木造建築技術
株式会社シェルター(山形市)

日本初の接合金物工法「KES®構法」日本初の接合金物工法「KESR®構法」

日本初の接合金物工法「KES®構法」は全国に知れ渡り、一般住宅などの木造建築に新たな改革を呼び起こした。

24歳で会社設立。工務店から建築企業へ

「我が家は四代続く小さな工務店でした。資金も何もないところからスタートした会社です」。
山形市に本社を構える株式会社シェルターの木村一義代表取締役は、アメリカ留学後、24歳の時に前身となる「シェルターホーム株式会社」を寒河江市に設立。それから40年余が経った今では、東京・宮城に支店を持つまでになっています。
「設立して数年は大変でした。ちょうど住宅業界が大不況を迎え、家が売れない時代でもあったので、なおさらです。しかし、始めから順調にいくよりも、失敗や苦労をひと通り経験したことで『このままでは終わらない』というガッツを持ち続けられたと思っています」。

代表取締役 木村一義氏
代表取締役 木村一義氏
木村氏がネジや釘などの金物を使わない従来の木造建築技術のメリットとデメリットを熟知していたのは、幼少時から工務店を経営する父親の仕事を見ていたから。中学生になると、「一般住宅には生産性と強度を重視する工法が必要だ」と考えていたそう。資金はなくとも、知識と知恵、そしてガッツが苦境を乗り越える原動力となり、やがて日本初の接合金物工法「KES(Kimura Excellent Structure System)®構法」を生み出しました。
株式会社シェルター本社
株式会社シェルター本社

地震に強い「KESR構法」での木造建築

株式会社シェルターが独自に開発・実用化した「KES®構法」は、柱と梁の接合部分に金物を用いた工法。木造建築の弱点と言われていた接合部分を金物で補強し、驚異的な強度を実現しました。
従来よりも強度のある木造建築。それが証明されたのは、1995年の阪神・淡路大震災でした。被害の大きかった神戸市灘区に建築した3階建ての一般住宅は、周囲の住宅が倒壊する中でその姿を変えず、メディアで紹介されるなど一気に注目を浴びることとなりました。その後の大きな災害でも住む人の命と財産を守り抜き、2001年に建築した岩手県浄法寺町新庁舎を皮切りに、大型施設でも数々の建築物を世に出しています。

最先端の木質構造技術築
KES®構法と併せて全国から熱視線を集めるのは、「木質耐火部材COOL WOOD®」。核となる木材を石こうボードで覆い、耐火性を格段に向上させたものです。
2018年1月、複数のメディアで紹介され日本中を驚かせたのは、昨年12月末にCOOL WOOD®が木構造部材で国内初の「3時間耐火認定」を取得したこと。これにより、15階以上の高層ビルを木造で建てられるようになりました。国内で例のない、木造高層ビルが建つ日も近いかもしれません。
日本初3時間耐火の国土交通大臣認定を取得した木質耐火部材「COOL WOOD®」
日本初3時間耐火の国土交通大臣認定を取得した木質耐火部材「COOL WOOD®」

「2時間耐火認定は2014年に取得しましたが、3時間の耐火はまったくの別次元で、我々も未知の領域でした。研究には時間を要しましたが、致命的な失敗はありませんでした。考え方や構造の基本が間違っていないからでしょう」(木村社長)。この耐火技術は、一般社団法人木造耐火建築協会(会長 木村一義)を通じて全国に広くオープン化しており、現在約270団体の会員が所属しています。

また、三次元設計・加工技術による「FREE WOOD™」は、木材を「曲げる」「切り出す」「削り出す」ことで実現させた美しいフォルムの部材です。曲線やひねりで表現されたその姿は、木材の持つ安らぎと、芸術性の高い美しさを兼ね備えています。

これら最先端の木質構造技術で生み出される建築物は、見る人に感動を与える外観と安心して過ごせる強度が魅力。一般住宅だけでなく、公共施設などの大型建築にも用いられ、好評を得ています。

FREE WOOD™を使ったモニュメント
FREE WOOD™を使ったモニュメント
シェルターなんようホール(山形県南陽市文化会館)。「最大の木造コンサートホール」としてギネスに認定された。
シェルターなんようホール(山形県南陽市文化会館)。「最大の木造コンサートホール」としてギネスに認定された。
COOL WOOD®の耐火性能試験。
COOL WOOD®の耐火性能試験。
COOL WOOD®の耐火性能試験。1,000℃を超える炉内で3時間燃焼した後、炉を閉めきったまま9時間残置。試験体の被膜を剥がし、荷重支持部に炭化痕(焦げ目)がない木肌を確認する。

環境と未来を見据え、正しい道を歩む

木村社長が木造建築にこだわる理由のひとつが、「環境への配慮」。地球規模で気候が劇変する中、低炭素社会を築くためにも、木を使った建築はこれから増やすべきという信念が、これまでの研究・開発を支えてきました。

「木は唯一再生可能な資源であるだけでなく、空気中の二酸化炭素を吸収・固定化し、建物を建てる際、最も環境への負荷が小さい資材です。

さらに、ストレスフルな社会の中で、木の空間による癒し効果も期待できます。木造建築はこれまで、性能や法律上の制約に可能性を阻まれてきましたが、これからは鉄骨とのハイブリッド造なども視野に入れ、木造建築による木造都市を作ることを目標にしていきます」。

24歳の時に掲げた基本理念「何が正しいかを考える」を、40年経った今も貫き通す株式会社シェルター。「正しい」の意味は、企業としてではなく、人として。客観的に、冷静に見極め、進む道を選択し続けてきました。木造建築を未来の形へと進化させてきた研究とその成果は、これからの建築界をさらに変えようとしています。

地球の未来が幸せになる建築を追求している
地球の未来が幸せになる建築を追求している
社会貢献活動として「シェルター絆の森」や「シェルターの森」での植林と森林保全活動を毎年実施
社会貢献活動として「シェルター絆の森」や「シェルターの森」での植林と森林保全活動を毎年実施。
(2018/01/23取材)

株式会社シェルター

株式会社シェルター
株式会社シェルターは、1974年に「シェルターホーム株式会社」として設立し、1997年に商号を「株式会社シェルター」へ変更。日本初の接合金物工法「KES®構法」を開発・実用化し、耐震性・デザイン性を飛躍的に高めた。2017年12月には木質耐火部材「COOL WOOD®」が日本初の3時間の国土交通大臣認定を取得。優れた工法と建築技術での斬新な建築物が評価され、数々の賞を受賞している。環境に関する社会貢献活動にも熱心で、2010年に山形県と「やまがた絆の森プロジェクト」協定を締結するなど地域活動に貢献している。
代表者:代表取締役 木村 一義

創業:1974年12月
従業員数:100名(平成30年1月現在)
事業内容:木質構造部材の研究・設計・製造・販売/注文住宅の設計・施工、リフォーム/木造都市づくりの企画・コーディネート
所在地:山形県山形市松栄1-5-13
TEL:023-647-5000
FAX:023-647-5050
URL:http://www.shelter.jp/
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