


朝日相扶製作所は、発注元企業のブランドで販売される製品を製造するOEMメーカー。椅子やソファを中心にとした木工家具を製造しています。農村の出稼ぎを減らすために雇用を生み出そうと事務椅子の座面の布の縫製工場として創業したのが1970年。「相互扶助」から命名されたという社名には、創業時の思いが込められており、四十数年の時を経ても従業員のほとんどは、町内および近隣市町の人々だといいます。
昭和40年代のオイルショックを機に進出した木工家具の製造で実績を上げ、椅子だけでも1,500 種類、トータル5,000アイテムもの木製家具を各ブランドのオリジナリティー、こだわりに合わせて1台から受注、製造。各社からの多種多様な要望に応えていく中で磨き抜かれた技術力は、他の追随を許さない卓越したものになっていきました。オリジナルブランドを持たず、営業・販売ルートも持たず、ものづくりに徹することで「NAMELESS-BRAND(名を秘したブランド)」という市場になくてはならない独自のブランドネームを手に入れたのです。
OEMメーカーですから、朝日相扶のネームはどこにも記されていませんが、みなさんが今座っているその椅子ももしかしたらメイド・イン朝日相扶製作所かもしれません。それくらい多様な相手先ブランドの信頼を得て、そのブランド名を名乗ることを許された家具を世に送り出しているのです。


朝日相扶製作所の最大の強みは多品種少量短納期体制。最少ロットは1台から、そして最短納期は4日、しかも、必要な時に、必要な場所へ、必要な質と量を届けるジャストインタイムシステムで得意先企業の在庫の無駄をなくし、エンドユーザーへの直接納入により二次配送費用をなくすこともできます。この迅速かつ柔軟な受注体制により多くの家具メーカーの支持と信頼を集めて、気がつけば得意先企業は80社を数えるまでになっていました。その中には、誰もが知っているヨーロッパの有名ブランドもあります。確かな技術力が認められ、日本国内で販売されるそれらブランド家具の製造を任されているのです。
多種多様を極める得意先ニーズへの対応を可能にしているのが、熟練の技術スタッフであり、NCマシン(数値制御工作機械)です。従来、NCマシンは大量生産用に使用されますが、ここでは緻密なプログラミングにより職人技を要するような高度な製品づくりにも活用しています。職人技ではどうしても出てしまう微妙な誤差がNCマシンでは一切生じません。5,000種類ものアイテムをデータとしてストックできるのもコンピュータならでは。逆に、一時は機械で行っていた塗装を現在は手作業で行っています。ひとつひとつ木目や色合いが違う天然木は、機械で均一に塗装してしまうと仕上がりにばらつきが出てしまうため人の目で確かめながら塗り方を加減する必要があるからです。





こうしたものづくりへの真摯な取り組みが欧州家具ブランドの目に止まり、2009年からデンマークのワンコレクション社への輸出を開始しました。さらに、2012年にはそのワンコレクション社からの発注でニューヨーク国連本部ビル信託統治理事会会議場に椅子260脚を納入。NAMELESS-BRANDとしての誇りと責任を持ち、世界一の黒子を目指してきた朝日相扶製作所が一躍、表舞台に躍り出た瞬間です。
「このことで『いつかは、エルメスの家具を手掛けたい』と掲げてきた目標が現実味を帯びたような気がします」と素直に喜びを表現する阿部佳孝社長。これを機に朝日相扶製作所の存在が国内外で知られるようになり、注文や就職希望の問い合わせが寄せられるなど、さまざまな反響があったようです。しかし、会社の名前が表に出る、出ないにかかわらず、求められる質と量の家具づくりに誠心誠意取り組む姿勢は少しも変わっていません。



株式会社 朝日相扶製作所

朝日相扶製作所は、農村の出稼ぎ解消をめざして1970年に椅子カバーの縫製工場として創業。昭和40年代のオイルショックを機に木工家具製造に進出。現在は、自社ブランドを持たない、OEMに徹した家具メーカーとして多品種少量短納期体制でお客様のあらゆるニーズに対応し、大きな信頼を得ている。その技術力には定評があり、名だたる家具メーカーから製造委託を受け、それぞれのブランドネームで市場に送り出している。2009年にはデンマークへの輸出を開始。2012年にはNY国連本部ビル会議場の椅子260脚の製造を手掛け、一躍、国内外の注目を集めた。
創業:1970年8月
従業員数:137名,br>
事業内容:家具製造業
所在地:山形県西村山郡朝日町大字宮宿600番地15
TEL:0237-67-2002
FAX:0237-67-3156
URL:http://www.asahi-sofu.co.jp/