永沢義男さん

家具製作の達人 永沢義男さん
(山形県卓越技能者表彰受賞/平成24年度)

昭和51年入社。旧ブラジル工場勤務などを通して家具組立の技能を磨く。平成4年一級技能士取得。技能グランプリでの準優勝を経て、平成19年全技連マイスターの認定を受ける。組立班班長として後進の指導にあたっている。

「バタフライスツール」で世界に羽ばたいた家具メーカー
バタフライスツール
天童木工の名を一躍世界に知らしめた伝説のイス「バタフライスツール」

株式会社天童木工は、1940年にその前身である天童木工家具建具工業組合が設立されて以来、数多くの木製家具および特別注文品を製作してきました。卓越した技術により成形合板ならではのしなやかなフォルムを実現。柳宗理デザインの「バタフライスツール」を製作した家具メーカーとして、その名は世界へ。その後も有名デザイナーとのコラボレーションで注目を集め、最近では、山形カロッツェリアプロジェクトで製作している奥山清行氏デザインの「コートハンガー“アルベロ”」が新たな話題となっています。

木という天然素材の可能性を引き出す
職人たちの工夫と技
コートハンガー“アルベロ”
山形カロッツェリアプロジェクトに参加し、製作している「コートハンガー“アルベロ”」

成形合板の家具は、1mm程度に薄く切り出した板を重ねて貼り合わせ、特殊な型に入れてプレスし、加熱して形をつくり上げます。天童木工では、この成形合板ならではのしなやかなフォルムを活かして、人間の体にフィットするシンプルでモダンな家具をつくり続けています。また、大型の会議テーブルやイス、書棚など、建物や特殊な用途に合わせてつくられる「特別注文家具」も、天童木工の得意とするところ。半世紀以上の実績とともに業界の高い評価を得ています。

コンピュータ制御のカットマシンで精度は格段に上がったとはいっても、天童木工が手掛ける家具の多くは、複雑な曲線を有するため、その組み立て作業には熟練を要します。さらに、上質の家具は長きにわたって使い継がれるため、場合によっては新品以上の手間暇かけての改修が必要となることもあります。それらの地道な作業を可能にしているのは、家具やデザインに対する深い愛情と愛着に他なりません。

家具づくりはチームワーク、
全技連マイスターはいわば団体賞
永沢さんが手がけた議場机(鮭川村役場)
永沢さんが手がけた議場机(鮭川村役場)

組立班の班長として15名のスタッフをまとめているのが、2007年、全技連マイスターの認定を受けた永沢義男さん。「全技連マイスター」とは、ものづくりのプロである技能士の中から、自らの優れた技術やコツ、技能を若者や後継者に伝承する熱意のある人々を全技連(全国技能士会連合会)が認定している制度です。まさに、この道一筋30年以上という永沢さんの日頃の修練と熱心な後進指導が評価されたもの。しかし、永沢さんは、「一人でできる仕事ではないから、チームのみんなや会社のバックアップがあったからこそ」と感謝の気持ちの方が強いようです。

地元山形県内でものづくりに取り組みたい、そんな思いで天童木工に入社して以来、製作現場での修業、旧ブラジル工場での実践を積んで着実に家具組立の技を磨き、平成4年には一級技能士資格を取得しています。近年、永沢さんが手掛けているのは、庁舎の議場机や図書館の書架などの特注品がメイン。「数十年後にもずっとそこにある、家具づくりにはそんな喜びがあります」と永沢さんは家具づくりの魅力を表現してくれました。

(2008/2/8取材)

製作中の議場机に面取りを施す永沢さん
製作中の議場机に面取りを施す永沢さん。その仕事ぶりはさすがに丁寧で綿密。

株式会社 天童木工

天童木工の成形合板の技術力・生産力の高さは、日本国内にとどまらず世界各国の工業デザイナーや建築デザイナーからも認められている。有名デザイナーとのコラボレーション製品のほか自社デザインの名品も少なくない。また、そのグレード感が高く評価され、都庁をはじめ県や市町村の議場机にも多く採用されている。

株式会社 天童木工
代表者:取締役社長 加藤昌宏
設立:1940年6月
従業員数:350名
事業内容:家具・インテリアの設計および販売、室内装飾の設計および施工の請負、前記の各項に付帯する事業
所在地:山形県天童市乱川1丁目3-10
TEL:023-653-3121
FAX:023-653-3454
URL:http://www.tendo-mokko.co.jp/
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