株式会社ダイユーは、自動車シートの製造を手掛けて30年。ホンダ、スズキ、三菱、レカロなど、日本の名だたる自動車メーカーにシートを提供しているサプライヤーです。輸送時間や輸送コストのことを考えれば、組立工場の近郊に立地しているほうが断然有利なわけですが、ダイユーの所在地は山形県内でも北部に位置する新庄市。関東、東海といった自動車メーカーの生産拠点から遠く離れており、立地条件としては決して恵まれているとはいえません。それでも、人との出会い、つながりから始まった自動車シートづくり、その縁を大切にすべくさまざまな工夫とシステムの構築によって距離的ハンデをカバーし、業績を伸ばしてきました。それらは確かな実績となり取り扱い自動車メーカーも徐々に増加、現在4社14車種の自動車シートを手掛けています。ドイツ生まれの世界的なブランド、「レカロシート」もその一つです。
自動車の進化とともにシートの設計・デザインもどんどん複雑化しています。ダイユーでは、材料の裁断はコンピュータ制御による機械化を進めていますが、縫製は複雑で自動化は難しく、一枚一枚手作業で仕上げています。立ちミシンで、一つのグループで最初から最後まで作り上げる一枚流しという方式を取り入れ、徹底した効率化と品質遵守を両立。縫製工程のほとんどが、根気強く、手際よく仕事に取り組む女性社員たちの手に委ねられています。




日本経済の成長を牽引してきた自動車産業。「その日本車の乗り心地を大きく左右するシートを製造している私たちダイユーは、日本車に対する高い評価の一翼を担っている、そんな自負と責任感を持って仕事に取り組んでいます」と語るのは、取締役管理本部長の佐藤満也さん。万一、納入した製品の品質に問題があったり、納期が遅れてしまったりした場合には、組立工場のラインを止め大きな損失を与えてしまう大変な事態に。品質と納期の遵守はサプライヤーとしての絶対的使命なのです。その上で、「より良いものを、より安く作る」というモットーを実践していくためにコストパフォーマンスの追究にも余念がありません。
キーポイントは、試作ラインの充実にあります。新車の場合には、約1年前から試作ラインを立ち上げ、製造工程のシミュレーションを繰り返し、より緻密で効率のよい最適な生産レイアウトを構築した上で本格的な生産ラインをスタート。日々の製造現場では、職場としては当たり前ともいえる「整理・整頓・清潔・清掃・躾」の徹底を図るために「 5 S 活動」 を週1度取り入れるなど、より質の高い仕事をするための環境を整備しています。


ダイユーでは、主力製品である自動車シートのほか、その技術とノウハウを生かして介護用ベッドの生産にも携わっています。前述の通り、縫製作業は根気のいる手作業でマンパワーがものをいう世界。ダイユーにおいてそれらを支えている社員のほとんどは地元出身者です。地元の安定的な雇用の受け皿となっているとともに、会社見学やインターンシップも積極的に受け入れ、地域社会への貢献、交流にも努めています。
地域とのつながりを大切にする一方で、自動車業界のニーズに迅速に対応するために、県内の米沢市、村山市、大蔵村、最上町には工場を設けて生産力をアップ。自動車メーカーの組立工場が立地する埼玉、静岡、鈴鹿には事業所を開設し、随時スムーズに納品できるような体制にしています。さらには、自動車メーカーの生産拠点の海外進出に呼応して中国にも2つの工場を創業しました。
品質、納期、コストに徹底的にこだわるとともに、お客様のニーズに合わせ、最適な生産レイアウトを構築し、満足感のある商品を提供し続けることがダイユーグループの使命。つねに地域密着にして時にグローバル、果敢な事業展開で時代の激変にも対応できる足腰の強い企業と言えるのではないでしょうか。


株式会社ダイユー

株式会社ダイユーは、昭和54 年に自動車シートの縫製メーカーとして操業を開始。以来、「より良いものを、より安く作る」を使命として、納期遵守でお客様のニーズに対応しています。進化の速い自動車業界にあっても、つねに機能性とデザイン性の両方を追究し、確かな裁断技術と優れた縫製技術で高度なフォルムを実現。現在、日本国内に 2 法人・8 拠点、中国 に2 法人・2 拠点を構えています。各拠点では、品質情報、生産情報、CAD データ等を共有し、一貫した生産ラインのもと、クオリティ・コスト・納期のさらなる充実を目指しています。