

アヒコファインテック株式会社は、1986年にアヒコ光学(最上郡鮭川村)より市場の高精度品質の要求および事業拡大のために分離独立。高精細な研磨に不可欠の豊富で質のよい地下水に恵まれた新庄市に設立創業されました。水質の良さを物語るかのように、隣には最上地域を代表する蔵元、最上川酒造があります。CCDカメラやプロジェクターなど、光学機器の内部に使用される光学ガラス等の生産を行っており、特に研磨加工と蒸着加工に定評のある会社です。
蒸着とは、ガラスに薄い膜を貼り付ける作業(成膜)のことで、これにより、光をより多く通したり、反射させたり、吸収させたりできます。紫外線や赤外線をカットしたり、反射を防止し透過率を高めたりできるのです。アヒコファインテックでは、成膜材料を蒸気にして密着させる真空蒸着成膜とプラズマ状態で放電させて密着させるスパッタ成膜を行っています。
さらに、研磨技術の高さにも注目です。現在の限界といわれている厚さ0.15mmガラスの加工が可能という、日本でも数社しかない企業の一社。それだけに、主な取引企業には、世界のビッグネームが名を連ね、まさに彼らの製品を通して世界に羽ばたいているといえるでしょう。ビデオカメラやデジタルカメラなど、私たちが何気なく使っている製品にも内蔵された光学ガラス、それはアヒコファインテック株式会社の製品かもしれません。


この企業の経営方針には、「私達は、常に社会に必要な集団であり続けるため『できる、できる、必ずできる』の精神で、技術を磨き合い、知恵を出し合い、信頼し合い、互いの幸福を目指し、行動する」とあります。物事を否定から入らないという前向きな姿勢が今日の成長を支えてきたのでしょう。高度化とともに多様化する取引先からのニーズに対しても試作を繰り返しながら要求に応えていくという、小回りのよさ使い勝手のよさを発揮し、信頼関係を強固なモノにしています。
しかし、今やアヒコファインテックの競争相手は日本国内の企業だけではありません。特に近年は、中国等の進出がめざましく、クオリティによる差別化がますます重要になってきています。その質の高さから世界が求めるガラスはやはり日本のものが多いのです。「クオリティの保持という観点からも、研磨技術の向上とともに、検査の精度アップにも力を入れています。」と話すのは企画管理課の今田健一課長。現在、25名にものぼる検査体制を敷いています。さまざまな加工工程において機械化が進んでいますが、検査はやはり目視が頼り。周囲が暗い中、ガラスの部分だけを明るくすることにより肉眼で3~5ミクロンまでチェックできるといいます。


企業として地域環境との共生・調和を重要課題の一つとして掲げ、法規制や条例の遵守、廃棄物排出量の削減等にも積極的に取り組んでいます。例えば、排水や産業廃棄物に関しては、県の指導を上回る月1回の測定を実施し、周辺住民の生活を脅かすことのないように十分配慮しています。
従業員は、約120名。企業としてもマンパワーを最重要視しています。人材を大切にする企業らしく定期的に研修会を実施し、互いのスキルを高めるとともに人的交流を深めています。また、社内のいたるところに従業員から募集した標語が掲げられており、士気の高揚とともにしっかりとした意志の統一が感じられる企業です。

アヒコファインテック株式会社

光学ガラスの研磨加工技術では日本屈指。現在のカバーガラスの主力は厚さ0.5 mmという中、0.15mmという画用紙程度の薄さのガラスの加工も行っている。会議などで使われる液晶プロジェクターの国内シェアは約50%。1997年東京に営業部門を設置してからは独自のルートを開拓し、取引先は全国各地に広がっている。