佐藤 健一さん

商品を引き立て、
人を惹きつける
ラベルパワーを
最大限に発揮するため
最良のデザインを追究する。
進和ラベル印刷株式会社(上山市)

進和ラベル印刷株式会社は、商品の顔となるラベル・シールを専門とする印刷会社です。お客様がアピールしたい商品をより個性的に、美しく際立たせるラベルやシールを企画・提案・製造しています。それらラベルやシールの訴求力を大きく左右するのがデザイン。佐藤さんは、お客様の要望と商品コンセプトをもとに打ち合わせを重ね、お客様が伝えたい思いをビジュアル化し、カタチにしていきます。業務拡張に伴い庄内支店勤務となって4年、ラベルパワーを最大限に引き出すデザインを生み出しています。

佐藤 健一さん

プロフィール
佐藤 健一 さん

 

1982年生まれ。
山形県寒河江市出身。
東海大山形高等学校から東北芸術工科大学に進学。
卒業後、グラフィックデザインを勉強したいと仙台の専門学校へ。
2006年「進和ラベル印刷株式会社」入社。
2010年より庄内支店制作室勤務。

入社の動機、きっかけは?

高校生の頃からグラフィックデザインに興味があったんですが、大学では建築デザインを専攻。 卒業、そして就職となったときに、やはりグラフィックデザインへの思いが再燃し、仙台の専門学校に入り直してグラフィックデザインやコンピューターグラフィックの勉強をしました。
地元山形の印刷会社やデザイン会社への就職を希望していたところ、縁あって進和ラベル印刷に採用していただきました。ラベルやシールに特化した印刷会社ということで当初は少し戸惑いもあったんですが、私たちが日常的に目にしているラベルやシールの多さに改めて気がつき、興味が湧いてきました。

具体的な仕事内容を教えてください。

営業部のスタッフからお客様の要望や商品のコンセプトの説明を受け、制作デザイン室で打ち合わせを行い、イメージを膨らませてコンピューターでデザインを起こします。今のところ庄内支社の制作担当は私一人なので打ち合わせの相手はもっぱら担当営業です。場合によっては担当営業と一緒に出向いて、お客様と直接打ち合わせをさせていただくこともあります。デザインが決まったらラベル原紙に印刷してサンプルを作製。ラベルやシールは、チラシやポスターといった他の媒体と違って、単独で使用されることはありません。必ず商品のパッケージやケース、ボトルなど、何かに貼り付けられて初めて完結する製品なので、より仕上がりをイメージしやすい状態にしてプレゼンテーションを行うわけです。デザイン、色、形状、ラベル素材など、お客様にご納得いただいた上で印刷に回します。仕上がりの色や質感など、印刷担当者との打ち合わせ、調整も重要な仕事です。
また、最近ではラベルデザインから派生してパッケージやPOP、ポスターのデザインなどを提案させていただくケースも増えてきています。商品としての統一感は重要ですからね。残念ながらラベル・ シール以外の印刷は他社さんにお願いすることになるんですが、デザイナーとしては非常にやりがいを感じます。

「 雅」「葵月」
佐藤さんがデザインを担当したラベル。「 雅」「葵月」は「世界ラベルコンテスト」で最優秀賞を受賞。
盾やトロフィー
コンテストで受賞した盾やトロフィーがズラリ

逆に、いちばん大変だと思うことは何ですか?

“大変だ”という言葉には苦労話で終わるようなニュアンスがあってあまり好きではないので、がんばってクリアするという意味合いを込めて”難しい”という表現に置き換えさせてもらいますね。デザインには正解がないので、こだわり始めるときりがないという難しさがあります。また、何度デザインを提案してもあと一歩のところでお客様に納得いただけないときも難しさを感じます。全然ダメであれば方向性を変えればいいのでむしろラクなんです。微妙に違うと言われてしまうともう堂々めぐり。
あるお酒のビンのラベルデザインのときには10回以上も校正を繰り返しました。でも、その甲斐あって最終的にはとても喜んでもらえて、そのビンを入れる化粧箱のデザインを追加で依頼されました。つまり、難しい仕事ほどおもしろいし、難しい仕事だからこそいいものが出来たときの喜びも大きいということなんでしょうね。

佐藤さん
お客様にデザインや色、紙質などについて説明をする佐藤さん

特に指導・影響を受けた上司や先輩は?

進和ラベル印刷は、とても話しやすい環境なので部署を超えていろんな人に仕事のやり方を教えてもらっています。特に、製造本部長や工場長にはさまざまなカタチでお世話になっています。例えば、自分でデザインしていると入り込み過ぎてしまって一般的な感覚を忘れてしまいがちなんですが 、そんな時、デザイン視点ではない素直な目で見てアドバイスをしてくれるのがお二人です。
デザインについて言えば、私が入社した頃は、事情により先輩デザイナーが退職されたために充分な指導を受けることができませんでした。専門学校で習ったことを精一杯生かしながら独自に学んでいった感じですね。ですから、後輩たちにはそんな苦労をさせたくないと思っているので、私もまだまだ未熟ではありますが、これまでの経験で得たものは後輩たちに伝えていきたいと思っています。

担当したもの
この中にも佐藤さんがデザインを担当したものが多数あります

この仕事が自分に合っていると感じるのはどんなところ?

私は血液型がO型、だからかどうかはわかりませんが、こだわりが強く、突きつめる性格なんです。あまり顔には出しませんが、かなり負けず嫌いなところもあって、それがデザインを追究する上ではプラスに作用しているのかなとは思っています。さっきも言ったように、デザインには正解がないのでディテールまでこだわりすぎて一つの仕事に時間がかかってしまうという難点もありましたが 、最近では程よく対応できるようになりました。それと、旅先でもお土産売り場を見て回るのが好きで、さまざまなラベルやパッケージをワクワクしながら見て楽しんでいます。好きでやっていることが仕事に役立つというのも自分に合っていると思えるポイントの一つですね。

ラベル印刷機
高品質の製品を生み出すラベル印刷機

今後はどんなことをやってみたいですか。

以前、商品のネーミングから任せてもらった仕事がすごく楽しかったので、今後は、できれば商品開発の段階から参加してみたいですね。ラベルやシールにとどまらず、パッケージやポスター、POPやのぼりなどのデザインまで、一つの商品の販売促進にトータルで関わってみたいと思っています。そして、庄内支社勤務4年目、庄内地方の土地柄や人柄も肌で感じてようやくわかってきたので 、お客様の求める”庄内らしさ”を自然に表現できるようになりたいですね。

これから社会に飛び立つ学生たちにメッセージをお願いします。

みなさん、今のうちにたくさん遊んでください。自分で言うのもなんですが、私はとてもまじめな学生で、勉強以外あまり主立った活動をしてきませんでした。今はそれを少し後悔しています。時間がたっぷりある学生時代にもっと旅行をしたり、アルバイトをしたり、いろんな経験を積んでおけ ば良かったと。それらは必ず仕事に就いたあとで役に立ちます。直接的に目に見えるカタチでではないかもしれませんが、何らかのカタチで結びついたり、ヒントになったりするはずです。
仕事では想定外のことが起こって当たり前、そんな時、いろんな経験が蓄積された人ほど臨機応変に対応できるに違いありません。自分の進みたい道とは関係ないと、よけて通らないで好奇心旺盛にいろんなことに一度は首を突っ込んでみてください。

ご自身でもおっしゃっていた通り、とてもまじめな人柄が伝わってくる真摯な受け答えの佐藤さん。インタビューの冒頭、「自然の風景や絵画など、とにかくきれいなものを見るのが好きなんです 」と目を輝かせていたのが印象的でした。佐藤さんがデザインされたラベルは確かに”きれい”が際立っています。

佐藤さん
佐藤さん
制作スタッフと打ち合わせをする佐藤さん
佐藤さん
コンピューター上でラベルをデザイン中

(2014/1/31取材)

進和ラベル印刷株式会社

進和ラベル印刷株式会社は、昭和62年(1987年)創立。顧客の満足度を上回れるようにとQ (クオリティー)、C(コスト)、D(デリバリー)を日々追究している。シール・ラベル専門の印刷会社ならではの印刷技術とデザインセンスには定評があり、「世界ラベルコンテスト」では10回以上の受賞歴を誇る。

進和ラベル印刷株式会社
代表者:代表取締役社長 晋道 純一
創立:昭和62年4月
従業員数:59名
事業内容:ラベルおよびシール専門の印刷業
所在地:山形県上山市蔵王の森10番地
TEL:023-672-7577
FAX:023-673-2019
URL:https://shinwalabel.co.jp/

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