株式会社最上川環境技術研究所

子育ては故郷の空気と米で。
培った設計技術で農業に役立つものづくり。
株式会社 最上川環境技術研究所(Metri)
(白鷹町)

株式会社最上川環境技術研究所は、ポンプ、流体関連各種装置などの分野で知られる株式会社ニクニの組み立て工場として創業。現在は自社での設計にも力を入れており、医療用、半導体用、農業用などのポンプ応用装置を開発・設計しています。生まれ育った山形で子育てをしたいとUターンした槻田侑哉さんに、現在のお仕事と山形で暮らす魅力をお聞きしました。

槻田侑哉さんのプロフィール

山形大学工学部
機械システム工学科卒業

茨城県の電機メーカーに入社し、機械設計を担当

子育てを機に山形へ。
株式会社最上川環境技術研究所に入社
1989年生まれ。
山形市出身。
高校在学中に力学に興味を持ち、山形大学工学部へ入学。世の中に形として残るものづくりをする事を志して、大学卒業後は茨城県の電機メーカーでエレベーターの乗りかごの機械設計を担当する。
2018年に子どもが生まれたことを機に山形へ帰郷。株式会社最上川環境技術研究所に入社し、農業用装置の開発設計をメインで行っている。

Uターンのきっかけを教えてください。

大学卒業後、一度は県外に出てみたいと思い、茨城県の電機メーカーに就職しました。実際に県外で生活してみて、「山形良かったな、住みやすかったな」と思うようになりました。
2018年に子どもが生まれたことを機に帰郷することを決めました。私も妻も山形県出身ということもあり「子育てをするなら自分たちが育った空気と米で」と考えていましたし、両親がいるというのも大きかったです。茨城県にいたときの子育ては、妻に任せきりになっていましたが、地元では両親にも子育てに協力してもらうことができ、とても助かっています。

現在の仕事内容を教えてください。

ポンプを使った応用装置の開発設計をしています。当社では医療器具の洗浄用装置など流体にまつわる装置の製造をしていますが、私が主に担当しているのは農業用装置の開発設計です。農業用装置は、現在当社が自社ブランドとして力を入れて展開している製品です。ハウス内の環境を整える装置や、作物に水と肥料を与える自動給液装置などの製品があります。農家によって農法が違うので、それらの製品をより使いやすくするために改良したり、新しい製品を設計したりしています。

株式会社最上川環境技術研究所
技術課課長大山泰明さん(右)と装置の組み立ての様子。

設計といっても、図面を引いて次の工程の部署に回すのではなく、当社では、製図・組み立て・試作・検査まで一貫して携わることができます。前職では組み立てなどは行わなかったので、学ぶことが多いです。すべての作業を一貫して自分で行うことで、完成した時の達成感も大きなものになります。

株式会社最上川環境技術研究所
日射コントローラー ACC-SOR
株式会社最上川環境技術研究所
CO2コントローラー ACC-CO2
株式会社最上川環境技術研究所
養液栽培用ECコントローラー MEC550

すべて他の農業用装置と連動することができる。

株式会社最上川環境技術研究所
小型自動給液装置MEU20
株式会社最上川環境技術研究所
インライン式自動給液装置MFS90
株式会社最上川環境技術研究所
小形自動給液装置MY14

養液を設定濃度に合わせて混合、送液することができる。

山形で働いてよかったと思う点は?

良かったと感じる点はさまざまありますが、通勤がしやすいことも、その1つですね。
茨城県で働いているときは、主要道路を通っていたこともあって約10㎞の道のりに1時間ほどかかっていました。その時間がストレスでした。今は山形市から白鷹町まで約25㎞ありますが、信号が一つしかないので30分くらいで済みます。山間の道は景色が良く、秋は紅葉を、冬は雪景色を見ることができます。早朝には朝日連峰の下あたりに雲海がかかることもあって、とても綺麗です。

この会社に入ってよかったと思うことは?

転職を考えたときに、農業関係のものづくりに携わってみたいという思いがありました。妻の実家が農家で、農家の方々の大変さを目にしていたからです。ものづくりを通して、農家の方々の力になれたらと考え、農業用装置に力を入れている株式会社最上川環境技術研究所に入社しました。
当社では業務だけでなく、スキルアップにかかわる資格取得にも協力的で、白鷹町商工会の支援制度も活用し、国家資格となる機械プラント製図2級を一昨年に、1級を昨年取得しました。1級では、より早く正確にCADで製図をする必要がありましたが、前職の経験も活かして、無事取得することが出来ました。

影響を受けた人は?

前の職場で、入社当時からいろいろなことを教えてくれた上司の言葉が印象に残っています。「一度やったことはもうやるな」という言葉です。“常に今までやったことのない仕事にチャレンジして、過去にやったことがあることは部下に教えて回せ。そうしないと自分も部下も成長できないぞ。”という意図で言われた言葉で、私は今でもこの姿勢を大切にしています。
株式会社最上川環境技術研究所の橋本社長は新しいことに挑戦する姿勢を大切にしてくれて、私たち社員のチャレンジにも理解を示してくれます。
例えば、今年の5月から敷地内に建てた試験ハウスでトマトの栽培に挑戦しています。私たちは農業用装置の開発をしていますが、農業の経験がなかったため、実際に行ってみるべきだと思ったからです。やってみると、水と肥料のバランスや光の与え方など、文献を読んでいてもうまくいかないことがあり大変ですが、新しいことに挑戦する姿勢を大切に、今度は苗から育ててみようと、私の事務室内で育苗にもチャレンジしています。

株式会社最上川環境技術研究所
ハウス内では小玉、中玉、大玉、3種のトマトを装置(左下)で管理しながら栽培している。夏は採れたトマトを社員みんなで食べた。
株式会社最上川環境技術研究所
事務室内で育てているトマトの苗も自社の装置で管理している。

今後の目標を教えてください。

実は、県内への農業用装置の導入実績がまだありません。現在の主なユーザーは西日本の農家の方々です。ハウスを使う施設園芸は日射が大切で、太陽が良く出ている地域で盛んに行われるため、冬の間の環境制御が難しい降雪地域では導入が難しいという側面があります。私の目標は県内の農家さんに当社の農業用装置を届けることです。現在、その目標を実現するために、マーケティングの支援を受けたり、山形県農業総合研究センターに訪問してヒアリングしたり、宮城県農業・園芸総合研究所で試験的に装置を使ってもらってフィードバックを受けたり、様々な営業活動をしています。手応えもあり、そう遠くないうちに地元の農家の皆さんのもとへ届けることが出来そうで、楽しみです。

山形へU・Iターンを考えている方へメッセージをお願いします。

山形県には自分が求める職種がない、入りたい企業がないなどの理由で、県外に就職活動の目を向ける人もいるかと思います。でも、意外と面白いこと、すごいことをしている企業は、山形県内にもあります。先入観にとらわれずに、調べて、気になった企業があれば実際に足を運んでみてください。

笑顔でお話ししてくださった槻田さん。何事にもチャレンジする姿勢で、山形をはじめ全国の農家の皆さんが少しでも負担なく農業ができるような装置を、これからも開発していってくれることを期待せずにはいられません。

(2020/11/25取材)

株式会社最上川環境技術研究所(Metri)

株式会社最上川環境技術研究所(Metri)
ポンプ、流体関連装置、超精密加工・組立の分野で社会に大きく貢献している株式会社ニクニの流体関連装置生産工場として創業し、現在は独自開発製品を含め、優れた生産体制によるモノ作りにより多様な産業分野で活躍している。

会社名 株式会社最上川環境技術研究所(Metri)
代表者:橋本幸雄
創立:  2001年8月
従業員数:63名(2020年11月現在)
事業内容:環境機器関連製品設計製造・ポンプ応用装置設計製造・水質管理装置設計製造・半導体チラーメンテナンス
所在地:山形県西置賜郡白鷹町荒砥乙327
TEL:0238-85-5522
FAX:0238-85-0455
URL:http://metri.co.jp

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