亀屋秋雄さん

【亀屋秋雄さんプロフィール】
金属部品加工の達人 亀屋秋雄さん
1944年(昭和19年)生まれ、山形県西川町出身。幼少期を山形県で過ごし中学を卒業後上京、微細加工を専門とする株式会社信栄テクノに入社する。
12年間の勤務を経て山形県寒河江市で有限会社三泰工業所を設立して独立。現在は有限会社三泰工業所の会長として、「生涯現役」を掲げながら、常に現場に立つ。
趣味は、家庭菜園でブドウ、キウイなどを栽培。

小ロットOKの、きめ細やかなサービス
     少数精鋭の技術者で業界を躍進する
有限会社三泰工業所は、医療機器関連部品の生産拠点として、1973年(昭和48年)に設立されました。小ロットの製品加工が売りで、小回りの利く仕事運びで正確性を持った高い技術を提供しています。顧客が満足できる納期設定が可能なので、満足度も高く、県外からの依頼も多数。チャレンジ精神旺盛な現会長の亀屋秋雄さんは、自らも現場に関わり、スタッフ指導にもあたりながら、日々業務の改善を行っています。チタン、コバールなどの難削材の加工にも積極的に挑戦しながら安心と信頼の置ける製品を納品しています。専門性に長けた、ものづくり一筋15年以上の職人集団が、ここ三泰工業所で働いています。

自動車のタイヤに使われるエアバルブ
効率化の中で産まれた、六角レンチのビス穴にさらに穴をあけるという穴あけ工具
医療用器具に使われる試作部品(1)
医療用器具に使われる試作部品(薄物)(2)
ワークストッカー。使い傷・打痕を防ぎ、不良品減少に役立つ。
ワークストッカー。使い傷・打痕を防ぎ、不良品減少に役立つ。

会社ののれん分け制度を利用し
     地元山形にUターンして独立起業
導入してから大幅に生産力が高まったという「NC旋盤」
一度山形県外での仕事を選んだ亀屋さんは、仕事も順風満帆、東京で青春ライフを謳歌しながら、独立する前の年に結婚。12年間の会社員生活を経て、1973年(昭和48年)に前の会社ののれん分け制度を利用して、山形県にUターンして独立しました。地元の友人などがいるので環境的には良かったのですが、当時はあまり同業といえるような会社も県内になく、大変だったと言います。

同業者が嫌がるような仕事を受けて不況知らずの会社に
独立5年目に、今の仕事の土台となる価値観を教えてくれた方との出逢いがありました。
ある企業が神奈川県川崎市から山形県河北町に事務所を移してきたのです。いつも活気に満ちている企業だったので、「どうしていつも景気良く経営されているのか」と聞いてみました。その会社の経営者はこう答えました。
「世の中が不景気の時には、簡単に稼げる仕事案件を周囲の業者が引き受けていき、周囲の事業者が嫌がるような効率の悪い仕事案件が残っている状況でした。そうした他の事業者が手をつけようとしない仕事案件を受け続けるので、うちは不景気なんて感じないのです。」

この考えは会長に大きな影響を与え、現在の企業の経営方針の土台となりました。
積極的な営業はしなくても、難易度やリスクが高い仕事を引き受けるうちに、企業としての技術と信頼も向上。様々な加工機械も会長のアイデアと創意工夫で作り上げていきました。
現在も、景気変動のある中、通常1つのNC工作機械で1日100個の部品しか作れないところを、会長は300個製造できるようにしたり、1つのプログラムを書く所要時間を大幅に削減するアイデアを発案したりと、改善と努力を惜しまない姿勢を貫き、不景気でも仕事がなくなることはほとんどないそうです。

業務拡大に伴い、平成23年(2011年)に事務所を河北町に移した。
業務拡大に伴い、平成23年(2011年)に事務所を河北町に移した。
現社長の亀屋公祥さん
現社長の亀屋公祥さん

難易度の高いものづくりに挑戦し続けるエナジー
現在、亀屋会長は75歳。息子である公祥さんに会社の経営は任せつつも、常に現場主義で作業場に立ち、挑戦と変革をし続けています。

社長の公祥さんも同業企業で技術を磨き続け、12年前(※2019年現在)に跡継ぎとして入社し、後継者問題もなくなりました。「技術は磨いてきたから、難しい仕事をどんどん請けるようにしたい」と会長に話したという社長の公祥さん。会長の血筋を感じさせるようなチャレンジ精神を持つ社長が、会長との二人三脚で会社を牽引し続けます。

世の中の最先端を研究し続け、細かく難易度の高い製品を作ることに特化したことで、お客様の信頼を高め続ける三泰工業所。最後に会長は、現在のものづくりの仕事についてこう語ってくれました。

「どんな仕事も、好きなことでないと長く続けていくのは難しい。
 好きなことは楽しんで仕事ができる。
 楽しんで仕事ができると、心に余裕ができる。
 心に余裕ができると、余暇も楽しめる。
 余暇も楽しめると、良いアイデアが浮かんできて良い仕事もできる。
 心にゆとりをもちながら、仕事を楽しんでやっていきましょう。」

ものづくりを楽しみながら、技術の向上と改善に取り組み続ける会長の秋雄さんは、今日も楽しんでスタッフと一緒に現場で製品を作っています。
飽き足らない向上心。今の若い技術者たちが学ぶべき姿勢がそこにありました。

従業員の満足度も高く、創業以来退職者はほとんどいない。
従業員の満足度も高く、創業以来退職者はほとんどいない。
(2019/9/6取材)

有限会社三泰工業所
有限会社三泰工業所

有限会社三泰工業所

有限会社三泰工業所は昭和48年7月に設立し、平成23年4月に河北町に本社工場を移転。主に医療機器関連部品、測定器、小径精密部品を製造。ステンレス、真鍮、アルミ等の一般鋼から、チタン、コバールなどの難削材の加工まで、確かなノウハウと熟練の職人技を駆使したものづくりに取り組んでいる。
小規模・少人数ならではの高い技術力と小回りの利く仕事運びで正確さと満足のいく納期を実現している。

有限会社三泰工業所
代表者: 代表取締役社長 亀屋 秋雄
設立:昭和48年7月
事業内容:機械加工、NC機械加工
所在地: 山形県西村山郡河北町谷地字嶋215-4
TEL:0237-73-2220
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