スズキハイテック株式会社

ネパールから山形へ
グローバルに活躍する
女性リーダーを目指して
スズキハイテック株式会社(山形市)

めっきによる表面処理を行うスズキハイテック株式会社は、大正3年に創業し、現在は中国やメキシコにも生産拠点を設け日々成長を続けている企業です。グローバル企業として邁進するスズキハイテックで働くネパール人女性お二人に、山形で『ものづくり』に励む意気込みをうかがいました。

コイララ・ビニタさん

コイララ・ビニタさん
ネパール出身の33歳。ネパールの経済大学で学んだ後、4年前に来日。東北電子専門学校 国際ビジネス科でビジネスマナーやパソコンを学び、今年4月にスズキハイテック株式会社に入社した。

シバコッティー・カダカ・ラティマさん

シバコッティー・カダカ・ラティマさん
ネパール出身の29歳。ネパールの大学を卒業後、英語教師として働いていたが、4年前に来日。仙台市内の語学学校と東北電子専門学校 国際ビジネス科で3年半学び、今年4月にスズキハイテック株式会社に入社。この冬からネパール人のご主人も山形に移住している。

入社のきっかけを教えてください。

スズキハイテック株式会社
ビニタ
かねてから日本の技術力の高さに着目していたので、ものづくりに携わりたいと考えていました。そして専門学校在学中、就職活動をする中でこの会社に出会いました。
ラティマ
私は当初、留学して語学を学ぶことを目的にしていたのですが、日本で暮らすうちに、ネパールよりも日本のほうが、様々な点で学ぶことが多のでは、と感じるようになりました。それならばすぐにネパールに帰るのではなく、若いうちにたくさんのことを学んでいつかそれをふるさとに還元したいと考え、ものづくりを行う企業への就職を希望しました。

祖国を離れて日本へ。どんな思いで決断したのですか?

ビニタ
かねてから特に自動車分野で、日本の技術はすばらしいと思っていました。いつか日本で学んでみたいという夢を持ち始め、ネパールでは日本語学校の受付のアルバイトをしながら資金を貯めました。
ラティマ
ネパールは、女性は専業主婦として家事だけをやっていればよい、という風潮がまだ根強く残っています。でも私は、家を出てもっと世界を見てみたいと考え、留学を希望しました。また、これまでの慣習にとらわれず、女性が社会進出する先陣を切ることは、将来私の甥や姪など次の世代のライフスタイルの選択肢が広がることにつながるはずだと思っています。

ご家族の反応は?

ビニタ
末っ子なので、みんな心配して反対しましたね。今でも「帰ってこい!」としょっちゅう言われます。でも「夢を実現させる」という強い気持ちで日本に来ましたから、そう簡単には帰りませんよ(笑)
ラティマ
私も反対されました。そして同じように、ことあるごとに「帰ってこい」と言われます。幸いなことに夫が後押しをしてくれたおかげで、留学が叶いました。

現在どのような仕事をしていますか

ビニタ
入社後3ヶ月間は実習で技術の基礎を学びました。現在は、これから成長が見込まれるエンジンの低燃費化を図るための部品にめっきをするチームに所属していて、主に製作計画を立てる仕事を任されています。
ラティマ
私も同じように実習をして、現在は、これから立ち上がるプロジェクトの開設準備をしています。チームのメンバーは、中国、インドネシア、ボリビアなど全員留学生出身ですので、お互い刺激を受けながら毎日がんばっています。
スズキハイテック株式会社
リーダーとしてチームをまとめているビニタさん
スズキハイテック株式会社
めっきするために必要な『治具(じぐ)』を試作するラティマさん。
スズキハイテック株式会社
中国やインドネシア、ボリビアなど海外出身の同僚と共に。

仕事をする上で大切にしていることは?

ビニタ
まずはきちんと仕事を覚えることです。また、仕事の基本である5S(整理, 整頓, 清掃, 清潔, 躾)をしっかり身につけていきたいと思っています。
ラティマ
みんなに迷惑をかけないように、自分が任されたことを間違いなくやることです。

山形での生活はどうですか?

ビニタ
今のところ困っていることはありません。知人から、「山形は、夏は暑いし冬は寒いし、とっても暮らしにくいところだよ。」と聞いていたのですが、そんなことは感じていません。とても良いところだと思っています。
ラティマ
仙台の学校でも友達ができましたし、山形でも近所の方が声をかけてくださるのでホッとします。先日、地区の敬老会にお邪魔して、ネパールカレーを振る舞いました。こうした交流は楽しいですね。あとは・・・もう少し若い友人が増えると嬉しいです(笑)

世界のどこにいても『やりたい気持ち』があれば成長できる

2人はどのような社員ですか?

スズキハイテック株式会社
スズキハイテック株式会社 5代目社長の鈴木一徳さん
鈴木社長 これまで当社には中国、インドネシア、ボリビアを含め4か国7名の留学生社員がおりますが、現在、インドでのビジネスの話もあり、これからはインド語圏の人材も必要だと考え、ネパール出身の彼女たちの採用を決めました。2人共、日本で仕事がしたい、という強い意思があふれていますね。その想いと努力があるからこそ、仕事の覚えも早いですし、漢字の勉強なども熱心で、とにかくがんばっているのが伝わってきます。
女性留学生の採用を決めたのは今回初めてなので、2人にはモデルケースを作ってもらいたいと考えています。なので、笑顔を絶やさず一生懸命に仕事を覚えて、リーダーとして成長してくれることを願っています。
今はみんなが目をかけてくれていますが、これからが正念場でしょう。言葉の壁など、まだまだクリアしていかなければならないことはあると思いますが、言葉や文化なども含めてたくさんのことを山形で吸収し、今後各国で展開していくビジネスのリーダーとして活躍してくれることを期待しています。

今後の目標は?

ビニタ
もっとこの会社の技術を海外に広げていきたいと思います。そしてインドに拠点ができたら、私がリーダーになりたいです。
ラティマ
仲間と仲良く協力し合いながら、グローバルな考え方を身に付け、ビジネスの成長に貢献したいと思います。どこにいたとしても、自分が前向きに取り組みさえすれば何でも達成することができる、苦しいことがあるからこそ成長できると信じてがんばります!

ものづくり産業を目指す女性にメッセージをお願いします。

ビニタ
組み立てやめっきなど、ものづくりの工程に自分が関わったと思うと、製品が愛しく感じられます。ものづくりへの興味、そして努力さえあれば成功できると思っています。困難なことがあったとしても、仕事を愛していれば乗り越えられるはずです!
ラティマ
ものづくりの仕事に携わるようになり、あらためて自分の身の回りを見てみると、すべてのものが誰かの手によって作られたんだなぁとつくづく感じます。今後、私が作った何かを誰かが使うことになると思うと、楽しみでワクワクしてきます。自分の中に  「やりたい!」という気持ちさえあれば達成できる、辛いことがあっても、それは成長のために必要なことなんだ、ということを忘れずにがんばっていきましょう。
(2018/12/3 取材)

スズキハイテック株式会社

企業からのメッセージ
スズキハイテック株式会社
めっき技術はいまやコンピュータやスマートフォン、自動車の電子機器など、エレクトロニクス分野には不可欠な技術となり、むしろそれらの機器の発展のキーテクノロジーとなってきています。弊社は創業105年を迎え、これまで蓄積してきた技術を踏まえて21世紀を担う、幅広い分野に挑戦しています。
女性社員も多く、産休や育休にも対応し、男女問わず仕事へのやりがいを感じ長く活躍できるよう努めています。情熱とチャレンジ精神のある方をお待ちしております。

社員数

代表者:代表取締役 鈴木 一徳
所在地:山形県山形市銅町2-2-30
TEL:023-631-4703
URL:http://www.sht-net.co.jp/
産業分類:製造業
事業内容:表面処理
インターンシップ、企業見学の受入:可

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