エムテックスマツムラ株式会社

世界にはばたくメイドイン山形
つねに開発しつづける
精密加工技術
エムテックスマツムラ株式会社
(天童市)

モールド金型

半導体製造設備に取り付けられたモールド金型

半導体デバイスメーカーでもあり、半導体製造設備のメーカーでもあるエムテックスマツムラの中枢製品(商品)ともいえるのがこのモールド金型。この型の上でチップを熱硬化性樹脂で封止し、半導体デバイスを製造する。デバイスの小型化・薄型化が求められる中、ウエハーを数十マイクロメートルまで薄くする設備の自社開発にも成功。モールド金型にも日々進化が求められている。

強力な3本柱を持つ企業

エムテックスマツムラ株式会社は、1945年創業という県内でも有数の歴史ある電気機械メーカーです。当初は、足踏み式ミシンの主要部品を製造し、国内シェア9割を誇っていました。しかし、技術革新による電動式ミシンの普及により足踏み式部品の需要が激減し、深刻な経営難に陥ったといいます。そのことを教訓とし、既存事業の拡大を図りながらもつねに次なる一手として新規事業に挑戦していくという体制を築きあげました。

現在のエムテックスマツムラの事業領域は、主力事業だけでも3つ。自動車部品製造、半導体デバイス製造、さらにはその半導体製造設備の開発・製造・販売までもこなしています。

自動車部品事業では、パワーステアリング用のシャフト類部品を中心に製造。半導体事業では、まず70年代に大手半導体メーカーの依頼で半導体製造装置を開発・製造したのがはじまりで、その開発力・技術力が買われて、半導体そのものの製造依頼も入るようになりました。汎用品から高機能デバイスまで、確かな技術と徹底した品質管理で絶大な信頼を得ており、取引先も国内外に広がり、グループ売上高の約7割を半導体事業が占めています。

自動車部品
これらの自動車部品を国内外にある大手自動車メーカー系列の生産拠点に出荷。
ウエハーの切断から半導体デバイスの完成までを一貫生産
ウエハーの切断から半導体デバイスの完成までを一貫生産
半導体製造装置「ATOM-THP1C」
半導体製造装置「ATOM-THP1C」

ナノテクで超極薄ウエハーを実現

自動車部品の製造からさらに半導体事業へ進出することになったきっかけは、大手半導体メーカーから製造装置の開発・製造を依頼されたことに始まります。近年では、山形県の超精密加工テクノロジーセンター(工業技術センター内)との共同研究により、ナノメートル(1ミクロンの1000分の1)単位の切削・研磨技術でウエハーを数十マイクロメートルまで薄くする設備を自社開発。これが大きな強みとなって、おサイフケータイやクレジットカード用のICなどの製造を一手に手掛けて注目を集めています。こうした状況は、つねに半導体ニーズの先を読み、実用化後の量産段階も考慮して先行開発している前向きで積極的な経営姿勢の産物といっていいでしょう。

半導体製造設備の重要部品となるモールド金型のチェック調整
半導体製造設備の重要部品となるモールド金型のチェック調整

「実は、こんなものもつくっているんですよ」と村尾純一技術部部長が紹介してくれたのは全自動麻雀卓。日本で初めて全自動マージャン卓を開発したのがエムテックスマツムラで、今も国内最大級のシェアを誇っているのだそうです。さらに、近年では眼底検査装置の開発・製造にも取り組んでおり、幅広い事業展開に一層の厚みが加わり、それが企業としての魅力、強みにもなっています。

企業としての発想のユニークさを印象づける「全自動麻雀卓」
企業としての発想のユニークさを印象づける「全自動麻雀卓」
非接触・非侵襲の眼底断層診断を実現した「眼底検査装置」
非接触・非侵襲の眼底断層診断を実現した「眼底検査装置」
ナノメートル単位の精度を求められる切削では、ダイヤモンドに次ぐ硬度の工具が用いられる。
ナノメートル単位の精度を求められる切削では、ダイヤモンドに次ぐ硬度の工具が用いられる。
村尾純一技術部部長
一般人にはわかりにくい、半導体デバイスやモールド金型などについてわかりやすく説明してくれた村尾純一技術部部長

産学官の連携で広がる可能性

エムテックスマツムラでは、山形県の超精密加工テクノロジーセンター以外にも、山形大学や東北大学、岩手大学などとの共同研究が盛んで、自動車部品や有機EL分野でも産学連携により成果を上げています。前述の眼底検査装置もその一つ。山形大学の教授との共同研究によるもので、診断精度にも操作性にも優れているとの評価を得ています。

さまざまな分野で技術開発に取り組む一方で、生産体制の充実にも着手。1996年には他企業に先駆けベトナムに製造子会社を設立。主に自動車部品及び半導体デバイスの汎用品の製造を行い、世界各国へと輸出しています。

また、エムテックスマツムラでは全事業所ごとに自衛消防隊を組織し、消防署での訓練を受けて初期消火にあたる体制で万一に備えています。

先を読む、万一に備える、そんな盤石の姿勢こそがこの企業を繁栄へと導いているに相違ありません。

ベトナムの市民に向けて企業紹介を行うための展示会。
ベトナムの市民に向けて企業紹介を行うための展示会。
万が一の場合にも、適切な初期消火で被害を最小限に。消防署での訓練も受けている自衛消防隊。
万が一の場合にも、適切な初期消火で被害を最小限に。消防署での訓練も受けている自衛消防隊。
(2008/2/4取材)

エムテックスマツムラ株式会社

エムテックスマツムラ株式会社
半導体デバイスをはじめ、半導体製造設備や自動車部品、アミューズメント機器の開発・製造に取り組む。さらに、産学連携により医療機器分野にも進出。1996年にホーチミン市にエムテックスベトナムを設立。60年の長きにわたって蓄積してきた電気機械メーカーとしてのノウハウを生かし、新たな挑戦は続く。
代表者:代表取締役社長 松村英一
創業:1945年3月
従業員数:650名
事業内容:半導体製造装置の開発・設計および製造、半導体モールド金型の開発・設計および製造、各種製造装置・合理化設備の設計・製造、半導体デバイスの後工程製造、全自動麻雀卓の製造・販売、医療機器の製造など。
所在地:山形県天童市北久野本一丁目7-43
TEL:023-654-3211
FAX:023-654-9088
URL:http://www.mtex.co.jp/
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