株式会社ニクニアサヒ

世界にはばたくメイドイン山形
高精度・高品質の
製造技術に光る熟練の技
株式会社ニクニアサヒ(朝日町)

株式会社ニクニアサヒ株式会社ニクニアサヒ

小型から大型まであらゆる形状のポンプを製造。マイクロ単位の技術で精度を保ち、さまざまな機器の重要な役割を担う。

多品種・小ロットで幅広いニーズに応える

産業用ポンプや半導体露光装置等の精密部品などの製造をおこなう株式会社ニクニ(本社:神奈川県)は、70年の歴史を持つ老舗企業。「株式会社ニクニアサヒ」は、企業誘致により、1973年に株式会社ニクニの生産拠点として朝日町に創設され、以来45年間、ポンプ製造の技術をこの地で培ってきました。

ニクニのポンプは、水処理などの施設だけでなく、工業製品、食品、医薬品の製造プラント、さらには温泉や健康ランドなど、幅広い分野で使用されています。水流をつかさどるポンプは、外側からは見えずとも、それがなくては正常に動かすことができない「心臓」とも言える部分。必要な量を正確に、必要な配分で吸い込み送り出し、各設備の中で特に重要な役割を担っています。

ニクニアサヒの特長は、高品質なポンプの多品種・小ロット生産が可能なことです。工業や産業の設備に組み込まれるポンプは、性能や仕様が用途に応じて異なることが多く、発注先のニーズに応じて忠実にカスタマイズする技術が必要。オートクチュールのポンプ製造に、熟練の技が光ります。

社内に設置されたポンプの見本。
社内に設置されたポンプの見本。細かい気泡と水流をポンプが制御する。
仕様に合わせてさまざまなポンプとその部品を製造
仕様に合わせてさまざまなポンプとその部品を製造
株式会社ニクニアサヒ

時代の流れとともに進化する製品技術

創設当初から在籍するベテラン技術者から若手社員まで、109名で営む工場では、マイクロ単位での綿密な製造が展開されています。その精度は、従来のポンプの常識を超えるとまで言われるほどの高い技術です。さらに、部品加工から組み立て、出荷までの工程をすべて敷地内でおこなうことにより、高品質を維持し高い評価を得ています。

創設時は第1工場のみだった社屋は、工場の増築を繰り返しながら事業拡大を重ね、2012年には第6工場を開設するまでになりました。第6工場では、大型ポンプを製造する部門を新設しました。さらに、中小企業庁の「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」などを活用して設備を整え、時代の流れとともにニーズが増加した大型真空ポンプの製造にも新たに着手しました。現在では、敷地内に連なる工場の各部門で、あらゆるタイプのポンプの製造をおこなっています。

加えて、ニクニグループとして海外への進出も精力的に展開しています。2014年にアメリカに販売拠点を設置し、今年は台湾にも販売・調達拠点を設置しました。
森大(まさる)代表取締役社長は、「朝日町で製造されたポンプは、世界中で様々な製品に使われています。このことの認知度を高めてゆくためにニクニアサヒブランドを朝日町から世界に発信し、私たちが作っている製品が世界中でさらに役立つようになることを、これからも目指していきます」と話します。

ポンプ組立の製造ライン。
ポンプ組立の製造ライン。社員一人ひとりが責任をもって取り組む。
森大代表取締役社長
森大代表取締役社長
山形大学工学部卒。生産管理部門一筋、今年度代表取締役に就任。趣味はランニング。
 旋盤加工の工程。機械での作業にも熟練の技が必要。
旋盤加工の工程。機械での作業にも熟練の技が必要。
試験的に導入された製造ロボット。細かい動作や条件による選択を記憶させる。
試験的に導入された製造ロボット。細かい動作や条件による選択を記憶させる。

蓄積された技術ノウハウの伝承を

大型の機械を使った作業から細部を調整する手作業まで、ポンプ製造の工程はさまざまです。機械でできる部分もある一方、精度を上げるための繊細な部分は、手作業で削る加工などが必要です。ステンレスの加工や切削が一定ではない「断続加工」は、受注を嫌う業者もいるほど高度な技術を要します。そういった加工も難なくこなすベテラン技術者たちがニクニアサヒを支えてきました。
後藤吉範取締役(製造部長)は、「長い年月の間に知らず知らずのうちに蓄積されたノウハウがあるのだと思います。ちょうど団塊の世代が定年を迎える時期に差し掛かっているので、後継者育成に重点を置き、熟練の技を少しでも若い世代に伝えるために、教育に力を入れています。若い社員を採用していくことはもちろん、今年からは、自分の受け持つ部門だけでなく工場全体を見渡せる広い視野を獲得してもらうべく、流動的に配置換えをおこなっています」。
また、次世代へ技術を伝えるため、ベテラン技術者の技をビデオ撮影した映像を利用して標準書作成や作業分析をおこなう取り組みなども始めています。

後藤吉範取締役
後藤吉範取締役(製造部長)山形大学大学院理工学研究科卒、生産技術部門で活躍。ハンドボールクラブのコーチも務める。

柔軟に進化を続ける 『NIKUNI way』

ニクニアサヒが掲げる「NIKUNI way」は、全社員で共有する企業のVisionと Mission。「ビジネス環境が変化しても、常に利益を出せる企業を目指す」Visionと、「品質の安定した製品をより安く、納期通りに生産出荷し、ニクニ商品の信頼と販売促進に寄与する」というMissionです。
社内では、「トップダウンよりボトムアップ」という方針に基づき、より仕事のしやすい環境への整備を進めてきました。最近では原点に立ち返り、「5S」強化活動も展開しています。
作業工程の動線に沿った作業場所の配置や製品チェック方法の見直しなど、作業する社員の目線と意識を考慮した改善は、小規模でも即効性のあるものばかりです。「5S活動のさらなる強化は、生産性や品質の向上、コストダウン、リードタイム削減を実現させるために必要なこと」と、森大代表取締役は話します。良いと思うことを柔軟に取り入れ、改善を怠らないという意識が、企業を常に進化させているのかもしれません。
「今までは『メーカーとして出荷する』までの仕事が多かったのですが、これからはサービスを重視することが大切と考えています。私達が作る製品がどのように使われるかをイメージして仕事ができるように、外に出てお客様の声を聴く機会を増やすことも検討しています」(森大代表取締役社長)。
小さな製品から大型設備まで、多種多様な機械に組み込まれ、国内外で活躍するメイドイン朝日町のポンプたち。森大代表取締役社長が率いる「NIKUNI way」のチャレンジは、これからが本番です。

 検品を終えたポンプ
検品を終えたポンプが今日もここから旅立っていく。

(2017/10/31取材)

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株式会社ニクニアサヒ

株式会社ニクニアサヒ
株式会社ニクニアサヒは、株式会社ニクニの生産拠点として1973年朝日町に創設。ポンプを主軸とした製造を担い、高度な技術とノウハウを蓄積し多種多様のポンプ製造を実現している。ニクニグループとして2014年にはアメリカに販売拠点を設置、2017年には台湾に販売及び調達の拠点を置き、組立部門を整備。社内外の革新によりさらなる可能性を求めて挑戦を続けている。
代表者:代表取締役社長 森 大
創業:1973年4月
従業員数:109名(平成29年10月現在)
事業内容:製造業 ポンプ製造、関連産業機器、光学機器等の製造

所在地:山形県西村山郡朝日町大字宮宿1930番地
TEL:0237-67-3411(代表)
FAX:0237-67-3872
URL:http://www.nikuni-asahi.co.jp/
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